本屋しゃんのほーむぺーじ

本好きとアート好きはきっと繋がることができると思うの。

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\本屋しゃんの旅−倉敷の本屋さん「蟲文庫」さんは、駄菓子屋さんみたいで、ヴンダーカンマーみたいで。(勝手に選書付)/

投稿日:2021-01-07 更新日:

名残惜しいけど、そろそろホテルをチェックアウトしないと。

何故だろう。
来るときはぴったり入っていた荷物が入らない。
これは旅の帰りのあるある不思議現象だ。
自分の全体重をスーツケースにかけてなんとか圧縮させて、蓋をしめた。

重すぎるので、ホテルのフロントで荷物を送ってもらうことに。
インドを旅してからというもの、わたしの旅はとっても身軽になったの。
今回もコンパクトに荷物をまとめたのだけど、コンパクトにしすぎたみたいね。旅の帰りには絶対に「本」が増えることが分かっているのに、着替えやらをぎゅーっと詰めてパッキングしちゃったのが敗因ね。

ちなみに、わたしのインド旅日記『あなたが見せてくれたガンジス川』を日記専門の本屋さん「月日」さんで販売していただいています。ご興味のある方は、ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです。現在、ZINEは完売中で、PDF版のみご購入いただいけます。と、突然の宣伝(笑)そして、ZINEを早く増刷しなさい、わたし。

なかむらしょうこ『あなたが見せてくれたガンジス川ーインド旅日記』

荷物をフロントに預け、身軽になったところで、最後のぶらり倉敷時間です。
今日、行きたいところは「蟲文庫」さん。「本と音楽 紙片」さんに、尾道の後に倉敷に行くことを伝えると、「倉敷に行くなら、是非是非、蟲文庫さんを訪ねてください。とってもとっても素敵な本屋さんです!!」 とあつくあつくオススメしていただいたのです。「蟲文庫」さんのお名前は知っていたけれど、こんなに愛をもっておすすめされると、そりゃあ、行かなくちゃ。

開店時間にはまだ早く、どうしようかしらと美観地区をお散歩お散歩。まだ、ほかのお店も開いておらず、街は静かだった。蟲文庫さんの隣に、「Kuku」という名のお店を発見。「OPEN」の看板が出てる。メニューを見るとどうやらエスニックなカレー屋さんのよう。チャイの一言が目に入り「カレー屋さんでチャイをいただく時間なんて素敵じゃないか」と、お邪魔することに。一歩お店の中に入ると、スパイスのいい香り。その香りをまといながらJAZZが踊ってた。店内の棚にはレコードがびっしり。カレーに音楽。アガる。

「チャイくださいな」

「今日は寒いものね、あったまってね」と店主。
厚手の陶器に入ってきたチャイからはホカホカの湯気と一緒に元気が出るスパイシーな香りが立ち上がっていた。両手で器をつつみこむだけで、あったかい。一口すすると、甘すぎず、好みの味で、身体の芯からポカポカになった。

そろそろ蟲文庫さんが開く頃なので、KuKuさんを後にする。
「ごちそうさまです。とてもあたたまりました」
旅先のたまたま入ったお店に恋できるととても嬉しい。

すでに蟲文庫さんが開店していた。
蟲文庫に入ろうとすると、後ろから「お客さ〜〜〜ん、忘れもの〜」とKuKuの店主の声。「このスタンプを集めるとマスキングテープがもらえるんだよ。スタンプラリーの用紙を渡し忘れるところだった。蟲文庫さんでももらえるはずだよ」と、わざわざスタンプラリーの用紙を渡すのに追いかけてきてくれたのだ。嬉しいなあ。用紙を折りたたんで上着のポケットに入れて、いざ、蟲文庫さんに入店です。

スパイスの香りはしないけれど、「本」のただならぬ気配がむわんっと全身を包み込んできた。入ってすぐの平台には店主著の苔や星座の本、その隣にはZINEやリトリプレスノコーナー。さらに奥に進むと「岡山文庫」がずらりと棚に並ぶ。他にも様々なジャンルの古本がひしめき合い、帳場の周りには蟲文庫さんオリジナルグッズなどが並ぶ。帳場にちょこんと座られている店主の田中さんの様子を見ると、みんなの日常に寄り添ってくれる駄菓子屋さんのような身近な場所のようにも感じたし、これはなんだ?!あれはなんだ?!と、ヴンダーカンマーに迷い込んだような気持ちにもなる。楽しい楽しい、こりゃ楽しい。


店内を行ったり来たり、しゃがんだり背伸びしたりしながら、悩みに悩んで3冊を購入。

『わたしの小さな古本屋』蟲文庫店主・田中美穂、筑摩書房
『岡山文庫133 岡山の路上観察−珍々おかやま楽しみ図会−』香川昌久・河原馨、日本文教出版
『星の虫 図鑑』くぼやまさとる、ギャラリーまじっくらんど企画

『わたしの小さな古本屋』は、蟲文庫店主の田中さんがいかにして古本屋さんになったのか、そして古本屋さんになってからの日々が綴られています。帰りの新幹線で早速読み出したのですが、会社を辞められてから、突然思い立ったかのように古本屋さんになろうと決め、即行動に移したというお話からはじまって、びっくり。わたしが訪れた蟲文庫さんの佇まいはとてもどっしりしていて、お店の誕生のきっかけが「ある日突然の思いつき」とは!! このはじまりかたから心を掴まれて、あれよあれよと読み進め、ペロリと読み終えてしまいました。「ある日」から、いろんな本や人との出会いを重ねて、いまの蟲文庫さんがあることをひしひしと感じ、最後まで読むとちょっと感動して目頭があつくなっていました。駄菓子屋さんのように身近で、ヴンダーカンマーのように好奇心が深まる場所である所以が本書によってわかった気がします。

本書内で田中さんが南方熊楠の「縁と縁の錯雑するところに事象が生じる」という言葉を引用されていたのだけど、蟲文庫さんを訪問できたことも縁だよなあとしみじみ、感謝です。

「岡山文庫」は、岡山の出版社 日本文教出版さんの創立15周年の記念として1964年に自然や文化などあらゆる角度から岡山の魅力を発信すべく創刊されたらしいです。と、クールに説明してみたけれど、蟲文庫さんでこれを見つけた時は「なにこれ?!?!岡山に特化したシリーズ本?!」と驚きとともに、岡山で岡山文庫に出会えたことに嬉しさを感じました。

岡山県は古く大和や北九州とともに吉備国として二千年の歴史をもち、とおくはるかな歴史のあけぼのから私たちの祖先の汗と脂と同時に私たちの心と肉との努力によって、近代的な産業県へと飛躍しつつあります。

小社は創立十五周年にあたる昭和三十八年、このような歴史と発展をもつ古くして新しい岡山県のすべてを“岡山文庫“(会員頒布)として逐次刊行をはかることとなりました。本文庫は、岡山県の自然と文化にわたるライブラリーとして、かねてから多くの人びとが熱望していたところであり、学校に家庭に欠くことのできないものと信じます。

岡山文庫 刊行にあたって

熱気あふれるステイトメントにほとばしるやる気と岡山愛を感じます。

なんとこれまでに320巻も刊行されているみたい(2021.1月時点)!写真が豊富なのも嬉しい。そして何よりテーマが素敵すぎるのです。王道からニッチまで、まさにバラエティ豊かすぎておもしろいのです。
「岡山の石橋」「岡山の郵便」「岡山の奇人変人」「岡山の考現学」「岡山おもしろウォッチング」「岡山の看板」「岡山の木造校舎」「岡山ふだんの食事」……こんな感じで320巻。

「岡山の路上観察」を選んだ。ペラペラめくっているだけでニヤけてくる。おかやま路上観察学会さんは、赤瀬川原平さんや藤森照信さんら、家元との交流もあったようですね。それにしてもとてもおもしろくて良い試みだよなあ、岡山文庫。こぼれ落ちてしまいそうなテーマもたくさんすくいあげて本という形で残す。すばらしい。
『わたしの小さな本屋さん』でも、岡山文庫について言及されているので、ぜひ。

『星の虫図鑑』はお店に入ってすぐにときめいた一冊。イラストレーターのくぼやまさとるさんが描いた空想昆虫の図鑑。銀河NG4676の一角にある地球そっくりの惑星キムネジネに生息する、1000万種はいると推測されている昆虫の中から、見た目や生態がおもしろい種を紹介してくれています。図鑑なので、全ての昆虫の名前とともに、生態、特徴も記載。いやはやこの空想力がとても楽しいし、図鑑というのが内に眠る子ども心をくすぐります。昆虫たちはカラフルで賑やか。空想する楽しさ、そしてきっとどこかにある世界を感じる心を忘れたくないなあって思わせてくれた一冊です。

さっき、荷物を送って身軽になったばかりなのに、また重くなっちゃった。
こりゃあ、楽しい。

あ、そうだ。KuKuの店主にいただいたスタンプラリーの用紙が蟲文庫さんでたまったので、無事にかわいいマスキングテープと交換してもらえました。謝謝。



追伸。
蟲文庫さんの袋には「マヌル猫」のハンコが押してある。


マヌルネコ???
「もふもふしてて可愛いですよ。東京だと、上野動物園で見ることができますよ〜」と教えてもらったので、東京に戻ってから、早速、上野動物園に行ってみたんだ。現在は、予約制の上野動物園。予約した時間に行ってみると、無念……マヌル猫を見ることができる館はすでに公開時間が終了していて、マヌル猫に出会うことはできませんでした。仕方がない、大好きなゴリラを見に行くかと、ゴリラ舎に向かいましたが、なんとゴリラもすでにお家に帰った後でした。動物園は、早い時間に行かなくちゃいけないんだなあと学びつつ、普段あまり気に留めない動物たちをじっくり見ることができてよかったな。のびのびと外出できる日が戻ってきたら、もう一度、マヌル猫に会いに行こうと思います。早起きして、ね。

お店情報

蟲文庫
処:710-0054 岡山県倉敷市本町11-20
※詳細はお店のWEBサイトをご覧ください。
https://mushi-bunko.com/

KuKu
処:〒710-0054 岡山県倉敷市本町11−19
※食べログ
https://tabelog.com/okayama/A3302/A330201/33001049/


関連情報

日本文教出版株式会社

岡山文庫のラインナップはこちらから見ることができますよ。
https://www.n-bun.com/untitled-c97b

勝手に選書

誰に頼まれたわけでもないけれど、この記事をテーマに選書してみた。

『路上観察学入門』赤瀬川原平&南伸坊&藤森照信、筑摩書房、1993
『二分間の冒険 』岡田淳&太田大八、偕成社、1985
『私の絵日記』藤原マキ、筑摩書房、2014
『ナナさんはあみものやさんです』角野栄子&高林麻里、リブロポート、1994


『日本の小さな本屋さん』和氣正幸、エクスナレッジ、2018
※蟲文庫さんが紹介されています。

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