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\本屋しゃんおすすめ展覧会:島本了多展 植田天豊氏コレクション寄贈に感謝して 「奇面のからだ」〜2021/2/21@六本木スペース ビリオン/

投稿日:

「六本木駅近くに店を構える1968年創業の元祖トーフステーキの店」

なんでもはじまりがあるんだよな、とこのお店のキャッチコピーに触れてしみじみ思いました。なんでもはじめに作った人がいるんですよ。トーフステーキ然り。

元祖トーフステーキをいただけるこちらのお店は無国籍料理レストラン「一億」さん。トーフステーキにはじまり、マグロの生姜焼き、グリーンカレー、玄米定食など、まさに無国籍。しかも体にいいことも大切にされていらっしゃる。マスターが世界中を自らの足で歩き、おいしいものを追求し続けて、日本の料理と世界各国の料理があわさったオリジナルの味ができあがってきたんだって。「おいしい」はノーボーダです。「一億」という店名には、ノーボーダーなおいしさを日本中の人(創業当時の人口が約一億人)に食べてほしいという想いが込められているそうです。良いなあ。

と、気になる要素満載すぎるレストラン「一億」の横の階段を3階まで登ると、「六本木スペース ビリオン」があります。一億の上にあるからビリオンですって。どこまでも興味をそそってきますねえ。

現在、ビリオンでは

島本了多展
植田天豊氏コレクション寄贈に感謝して
「奇面のからだ」

が開催中。

植田天豊氏コレクション寄贈に感謝して」そう、この植田天満さんこそがレストラン「一億」のマスターです。本展は、島本了多さんが植田さんが40年程前にバリ島を訪れた際に入手した仮面たちを譲り受けたことが契機となっています。

仮面にまつわる情報は、植田さんが40年程前にバリ島で心惹かれてガバッと購入されたことくらいで、いつ、誰が、なんのために作ったかわからない、そもそも動物なのか、妖怪なのかすらもわからない。島本さんは、そんな奇妙な仮面たちに驚愕し、魅了され、想像力を掻き立てられ、「からだ」を与えました。


「仮面」と聞くと、わたしは儀式や祭礼、呪術的なことを想起する。
妄想しすぎかもしれないけれど、仮面をつけたら最後、仮面に自分の体が乗っ取られてしまうのではないかという怖ささえ感じる。

島本さんが譲り受けたという仮面たちも、一見すると、おどろおどろしい。目はぐりんぐりんで、牙はむき出しだし、ツノ生えてるし……勝てっこない、そんな気持ちになる。この世の者ではない……そっとしておこう。

だけど、わたしは、展示会場に足を踏み入れた途端に、笑ってしまいました。

「からだ」
そう、「からだ」が描かれたことによって、急に、脱力し、「奇面」たちが滑稽で、コミカルに見えてきたんだ。

体は墨で描かれている。仮面のインパクト大で、どちらかという派手な面構え。そんな面とは打って変わって、からだはゆるっと、やわらかい。島本さん曰く、禅画を目指したという。なるほど、このギャップが脱力へと導き、滑稽さを醸していると思うのだけど、島本さんの「本当は仮面たちは怖くない。実は笑ってる」という言葉にハッとした。確かに、仮面と聞くだけで、「一度つけたら最後!取れなくなるやつ!」とか、変な妄想に頭の中が支配されていたけど、ここの仮面たちを一つ一つ丁寧に見ていくと、「本当だ……笑ってる。めっちゃ優しくていい顔してる」ことに気がつく。目がぐりんぐりんだし、牙むき出しだし、ツノ生えてるけど、襲ってこないわ。むしろ、「ああ、こういう人いるわ」と、急にご近所さんになった。

ユングは、人の外的側面を仮面になぞらえてペルソナと呼びました。生きていく上で、人は毎日いろんな仮面をつけなくてはいけないよね。「人の心は面の如し」とも言いまして、顔は常に時と場所によって変化する。この仮面もかつては誰かが何かになるための道具だったかもしれない。だけど、「からだ」を与えられた仮面は、そんな道具としての使命から解き放たれて、外敵側面がはぎ落とされて、仮面そのものとして、内的側面が立ち上がったのかなと感じました。もしかしたら、仮面をすっとかぶることになる面よりも、「からだ」にこそ本質があるのかもしれないね。

それにしてもさ、まさか、仮面たちはさ、何十年もの時を経て、日本にやってきたかと思ったら、日本のアーティストに「からだ」を与えられるなんて、思いもしていなかったよね。柳家喬太郎さんが「時そば」の枕で、コロッケそばの話をしていたことがあった。「俺、蕎麦にのっけられるの?!え?え?!」という、コロッケの気持ちね(笑)トーフステーキもそうかもね。「え、ぼくステーキになるの?!ヘルシーフードのぼくが?!」と、豆腐の気持ち。




まさに時空を超えた想像力の連鎖。
パワフルなもの同士は、権威や歴史によらずとも、つながるんだね。
想像力の柔らかさとは。創作物の強さとは。創造の強度とは。

漫画家・諸星大二郎の『マッドメン』が頭をよぎる。「単に異文化の国からやってきた少年が、文明国とのギャップの中で“原始”的な力を発揮するといった、ごく平凡な少年漫画」と、諸星さんは文庫版のあとがきでお話しされているの。仮面たちも遠路はるばる日本に来て、島本さんの手によって、原始的な力を発揮しまくっていたのかもしれないな。

展覧会は2月21日まで。個展でありながら、バリ島のお面と島本さんのタッグという二人展。ぜひ、仮面たちにどんなからだが描かれたのか、お楽しみください。

ここまで書いて、「一億」の話に戻るけど、実は、まだ一億のお料理をいただいていないの。元祖トーフステーキ!!!近々再訪して、はじまりの味を堪能するぞ。

追伸
わたしが、島本さんを知ったのは、青森県立美術館で開催された「化け物」展。
本店に出品されていた「しらない言葉の百鬼夜行」という作品に心をわしづかまれたのです。


展覧会情報

記島本了多展
植田天豊氏コレクション寄贈に感謝して
「奇面のからだ」

会期:2月16日(火)〜21日(日)
平日・日曜 13:00~19:00土曜 
11:00〜16:00

処:六本木スペース ビリオン東京都港区六本木4-4-5 メゾン六本木3F(レストラン「一億」が目印!)

※詳細はビリオンのWEBサイトをご覧ください
http://billion-roppongi.com/

レストラン情報

一億

処:〒106-0032
東京都港区六本木4-4-5メゾン六本木1階

※詳細はお店の公式サイトをどうぞ。
https://www.ichioku1968.com/
お店の成り立ちやお料理の詳細などなど。

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