本屋しゃんのほーむぺーじ

本好きとアート好きはきっと繋がることができると思うの。

BLOG RECCOMEND 展覧会

\かっこいい名前にきゅんときたのが出会いだった:命名80周年記念 企画展「メタセコイア -生きている化石は語る」〜2021/4/4@国立科学博物館/

投稿日:

広島では3月11日に桜の開花宣言がありましたね〜。
春がじわじわとやってきてますね。

上野公園では寒緋桜(かんひさくら)がたっぷり咲いていました。
寒い時期に緋色の花を咲かせるから寒緋桜。
空の青と鮮やかな緋色のコントラストがとてもきれい。
ぽってりした花の形も和ませてくれます。

普段は、なかなか街の樹に気を止めることはないけれど、やはり桜は気になりますよね。だけど、今年、忘れてはいけない樹があります!!


その名も「メタセコイア」

わたしがメタセコイアを知ったのは上京して間もない頃。だから10年くらい前かしら。当時、図書館で勉強をする毎日だったのですが、その図書館の入口に続く並木道の樹に「メタセコイア」とプレートが取り付けられていたのです。大地にしっかり根を張り、どっしりしながら、すっくと伸びやかな美しい樹。


「メタセコイア?」
わたしは思いました。
「何だか、戦隊ものか仮面ライダーに出てきそうな名前だな。かっこいいんですけど。きっとラスボスだよね。強いのよ」
頭の中で妄想は続きます。

「ついに出たな!メタセコイア!!」
「ははははは!俺の手下を随分可愛がってくれたようだな。今日はこれまで通りにはいかないぞ(にやり)」
「ぐぬぬぬぬ………覚悟ぉおお」
「おやおや、威勢がいいのお。どこからでもかかってこいー」
エイッ、トォーーーーッ。

はい。わたしは、その一本の樹からこんな妄想をして楽しんでいました。
すっかり「メタセコイア」に心奪われましたね。入口はかっこいい名前から。何がきっかけかなんてわかりませんね。ラッキーなことにそこは図書館。勉強の前に、メタセコイアがどんな樹かを調べたら「生きた化石」と書かれている。化石が生きている???興味は深まるいっぽうですが、それからメタセコイアはわたしの意識の水面下に潜り込んだまま、冬眠していました。


が、しかし、突然、メタセコイアに再会することになったのです。
企画展「東日本大震災から10年-あの日からの地震研究-」を見に訪れた、国立科学博物館。
震災の展示会場の隣で命名80周年記念 企画展「メタセコイア -生きている化石は語る」が開催されていたのです。
一旦は、冬眠していたわたしのメタセコイアに対する好奇心が水面からふあっと浮上です。「メタセコイア!!!久しぶりじゃないか」きっと、それまでにも、街でメタセコイアの隣を通り過ぎたりしていたのでしょうに。

2021年から遡ること80年前。
1941年に京都大学の三木茂(みき・しげる)博士が「メタセコイア」と命名しました。

そう今年はメタセコイアと命名されてから80周年。祝!

メタセコイアが発見されたきっかけは「化石」。
何でも、このきっかけとなった化石は、ヒノキ科に属するセコイアや、タクソディウム(ヌマスギ)と呼ばれる植物だと思われていたらしいのですが、実はこの化石はこれらの植物ではなくて、新しい種類の植物ではないか!!と三木博士が研究を進める中で気づいたのです。「お主はもしかして、セコイアではないな?!」と。ずっと勘違いされてきた化石なのですね〜。

そこで三木博士は、間違われていた「セコイア」に「後の」という意味をもつ「メタ」をつけて、「メタセコイア」と名付けたそうです。「よし、今日からお前はメタセコイアじゃ!」ふむふむ。こうして、間違いは払拭され、新しい種の発見にいたり、わたしがきゅんとしてしまったかっこいい名前が誕生したのですね。

さらに、化石がきっかけだから、もう絶滅している植物と思いきや、何とですね、三木博士がメタセコイアと命名してから5年後に中国の四川省(現在の湖北省)で生きているメタセコイアが発見されたのです!!ぬぬぬ、だから「生きている化石」と呼ばれているのですね。間違われていた化石から発見されて、しかも現代にも生きていることがわかった!という、発見の連続。

日本では消滅していたらしいのですが、中国で生きていることがわかった後、メタセコイア保護のために、核となる研究者の方々が動き、アメリカでメタセコイアの種子から苗を育てて、その苗が日本全国の大学や植物園に配布されたことで、日本にメタセコイアが戻ってきたそうです。

今では、それこそ図書館とか、学校の校庭とか、並木道とか様々なところで、私たちを見守ってくれているメタセコイアですが、こうして発見された経緯や、なぜ、今身近になっているのかを知ると、ロマンチックというか、数奇な運命というか、ますます好奇心をそそってきますなあ、メタセコイア。


展示は、三木博士がいかにしてきっかけとなった化石から新しい種類の植物と気づいたのか、さらにメタセコイアと日本の関係、なぜ、中国でメタセコイアは生きていたのか、などなど、ドラマチックに謎に包まれたメタセコイアを軸に、地球環境について、自然との共存についてを考えることができました。

決して、堅苦しい展示ではなくて、かわいいイラストレーションの三木博士が展示会場を案内してくれますよ〜。会場中に三木博士のナレーションがこだましていたのが、ナイスでした(笑)まさに木霊かな。



きっかけは、ずっと前に感じていた、かっこいい名前の樹だなあという、他愛もない好奇心。それが、偶然であった展示で深まるという奇遇な体験。いろいろな方向に無邪気にアンテナを張り巡らしておく大切さというか、楽しさをしみじみ感じました。


展示を見終わって……それまで、何となくラスボスっぽくキャラクター設定をしていたメタセコイアに、ごめん、今日から地球を守るヒーローの設定で物語を作り直すね、なんて思うのでした。

展示会場で配布されている冊子。うれしー。

冊子の裏側。このイラストレーション三木博士が展示を案内してくれてるよー。

展覧会情報

命名80周年記念
企画展「メタセコイア -生きている化石は語る」

会期:2021年1月26日(火)~4月4日(日)
会場:国立科学博物館 日本館1階企画展示室
※東京都台東区上野公園 7-20
入場料:一般・大学生630円(税込)、高校生以下および65歳以上無料
※常設展示入館料のみで観覧可能。ただし入館事前予約が必要(2021.3.14現在)

※詳細は公式WEBページをご覧ください
https://www.kahaku.go.jp/event/2021/01metasequoia/


関連記事






Follow me!

-BLOG, RECCOMEND, 展覧会
-, , , ,

執筆者:

関連記事

\入荷しました!「アートこそが唯一社会にイメージをつきかえすことができる」という想いが込められた一冊『DISNY ART 』岡本光博・福田美蘭ほか/

こんにちは!いつも本屋しゃんのブログを読んでいただきありがとうございます。 今日は7月9日。四万六千日の縁日ですね。浅草のほおずき市に行ってみたいなと思う本屋しゃんです。先日、三遊亭ぐんまさんのひとり …

\ほんのハッピーセット⭐︎はらぺこめがね の絵本『ステーき 12のおいしいきのはなし』−本屋しゃんもおいしい「き」に挑戦/

小さい頃、ファストフード店やファミレスのキッズメニューとか、お子さまセットについてくるおまけって楽しみでしたよね。そこで、やっぱり忘れてならないのがマクドナルドのハッピーセット。わたしが小さい頃は、マ …

\本屋しゃんの旅–尾道・山手の茶店「帆雨亭」で志賀直哉とピザトーストと珈琲と。/

そうだ、招き猫つくろう。そう思い立ったのは、昨夜。きっと、お酒を飲んでいたこともあって、いつもの「いらんことしい」気質に火がついたのでしょう。尾道の山手に位置する宝土寺観音堂にある「招き猫工房」で、招 …

\本屋しゃんの旅−本とのたり品のお店「ひねもすのたり」で出会った本は、もっと歩いたり、もっと立ち止まったりしたくさせてくれた。『ともだちは緑のにおい』「小幡明 PapelSoluna(旅などの新聞)」/

不思議な名前のお店だな。尾道2日目の朝。今日はどこに行こうかしらと計画を立てる。だいたいわたしの旅は行き当たりばったり。目的地をひとつ決め、後は風に身を任せてフラフラ〜っと。まさに風来坊。 いろいろ調 …

【archival movie created by MEGUMI MASUKO】本屋しゃんプレゼンツ 秋山あい 絵と本が出会う展覧会「スカートの中、夢の中」

2020年11月2日〜8日に下北沢のBOOKSHOP TRAVELLERで開催をした本屋しゃんプレゼンツ 秋山あい 絵と本が出会う展覧会「スカートの中、夢の中」のアーカイヴ動画をますこめぐみさんが作成 …