BATICA RECCOMEND 本/ZINE

\わたしの日常のなんでもない「もの」が、ふと愛おしくなるZINE−しらいしののこ『もののこと』/

投稿日:

肌寒くなってきて秋だなあと思っていたら、急に汗ばむくらいのあたたかさになったり。もうっ、気分屋さんなんだからって、秋の空と天気に向かって、ほっぺを膨らましてみたり。女心と秋の空とはこのことかしら。

本屋しゃんが選書を担当させていただいている千葉氏美術館のミュージアムショップ BATICAで素敵なZINEに出会ったのでご紹介させてください。なんだか、秋にぴったりだなって思ったのです。あったかさと寂しさが同居しているような。

それが、こちら。
イラストレーター・しらいしののこさんの『もののこと』。

ダブルクリップで11枚のイラストレーションがまとめられている佇まいは、気取らず、かわいらしくて、一目惚れ。表紙のトレーシングペーパーから透けて見える赤と黒の2本のペンは、誰かの愛用品であることが伝わってきて、温もりがすでに漂っているの。

中を開くと、さまざまな「もの」が出迎えてくれる。
赤と黒のペンのように、所有者は描かれていなくても、気配が漂い、温もりとともに、どこか哀愁を感じてしまう。きっと、ものたちに所有者の酸いも甘いもな思い出が染み込んでいるからだろうなあ。

本屋しゃんはこのハンガーの絵がお気に入り。

しらいしさんのテキストも、このZINEのおすすめポイント。

なくても生きてはいけるけど、生活するには必要なもの

本書より

『もののこと』を楽しんだ後に、自分の部屋をぐるっと見渡してみる。
毎日、使う愛用ペンから、かわいくて未開封で未使用のままのマスキングテープ、ベトナム土産のキッチュなペンケース、1ページだけ使ったノート……。毎日目にする何気ない「もの」たちだけど、なんだかちょっと愛おしさが増した。

うん。なくても生きてはいけるけど、わたしの毎日は必要なものたちだ。



イラストレーションは、1枚1枚厚手の用紙に印刷されているので、額装してお部屋に飾るのも良さそう。

千葉市美術館にお出かけの際はぜひ、ショップ BATICAものぞいてみてください。グッズや書籍との

愛おしい出会いのきっかけを作ってお待ちしております。

千葉市美術館ミュージアムショップ「BATICA(バチカ)」

アート関連の書籍や商品を中心に、千葉ゆかりの作家やメーカーのプロダクトをセレクトしたミュージアムショップ。

https://batica-chiba.com/

-BATICA, RECCOMEND, 本/ZINE
-, , , , ,

執筆者:

関連記事

\地主麻衣子+山口啓介「新・今日の作家展2020 再生の空間」は10月11日まで/

なるほど。これが噂の心臓破りの坂ね。送迎車に乗り込み、「あぁ、助かった」と心の中でつぶやく。だけど、ちょっと、急な坂をはあはあと息を切らしながら登るのも良かったかもな、とも思った。たどり着いたのは、地 …

\本屋しゃんの旅−倉敷の本屋さん「蟲文庫」さんは、駄菓子屋さんみたいで、ヴンダーカンマーみたいで。(勝手に選書付)/

名残惜しいけど、そろそろホテルをチェックアウトしないと。何故だろう。来るときはぴったり入っていた荷物が入らない。これは旅の帰りのあるある不思議現象だ。自分の全体重をスーツケースにかけてなんとか圧縮させ …

長嶋祐成 作品展「bloom」@HATOBA・西荻窪~2022.7.16~7.24

久しぶりのハンサム食堂。アジアの雑踏を感じる小路を歩いていると、いや迷い込んでいると、思い出のお店に行きついた。上京してはじめて住んだ町は吉祥寺。吉祥寺だけでなく、東京の西側の雰囲気が好きで、近隣の町 …

\手紙が届いた。八谷和彦展「秋水とM-02J」@無人島プロダクション〜2021/4/18/

空を飛んでみたい。自分の体で、風に乗って。そんな妄想をたくさんしてきた。自分の名前に「翔」の字が入ってるからかしら。どうやったら飛べるだろう。翼を作ってみる?イカロスを想うと墜落してしまいそうだわ…… …

\所謂「履歴書」ではない。『履歴書籍ー本屋さんの履歴書編』彗星読書倶楽部+本屋しゃん@第34回文学フリマ東京 5/29/

今まで履歴書を何回書いてきただろうか。何人の人が、私の履歴書を読んだだろうか。そこからどれだけのご縁が生まれただろうか。破り捨てられたことも、あったかもしれない。「履歴書籍」は、正規の履歴書には書きき …