ここだからこそやりたいこと、やるべきこと、できること。
こんな感覚が大切だし、楽しいなと、最近とても思う。
この感覚に気づくことができたのは、「トリメガ研究所」さんとの出会いが大きい。ここだからこそできることを発見し、ここでやるべきことを追求することで、ここでやる意味と向き合うことで、文化は耕されるんだなと。
「暮ラシカルデザイン編集室」さんも、このことを教えてくれた。「千葉・房総の名刺」コンセプトにパン、カフェ、コーヒー、落花生などさまざまな角度から房総の日常を取材して編集して「本」にして伝えてくれています。まさに、ここだからこそできること、ここでしかできないこと。房総のことはもちろん、日常っていいなあって、生活することが愛おしくなる本ばかり。
この度、「暮ラシカルデザイン編集室」から、新しい本が刊行されました。
『BOSO COFFEE -Ⅱ- /房総コーヒー 2』
祝!
『房総コーヒー 旅と日常』に続く、千葉県のコーヒーの情報とが詰まった一冊。ブラックな表紙は、シンプルでかっこいいだけでなく、千葉のコーヒー魅力が抽出されていることを彷彿させてくれる。そして、ページをめくると、不思議とコーヒーの香りが立ちこめてくるんだ。
この度、本屋しゃんが本棚作りを担当している千葉市美術館のミュージアムショップ BATICAで本書の刊行を記念したフェアが開催中です!8/1まで!
本書に掲載されれているコーヒー屋さんの豆やグッズが一堂に介しているとともに、光栄なことに、本屋しゃんも選書を通じて、本フェアに関わらせていただきました。しかも、幕張の本屋さん「本屋lighthouse」さんも選書されるとのことで……気骨ある本屋さんと一緒にフェアに参加できることに嬉しさと緊張がまざり合いました。お声がけいただきありがとうございます。
選書のお題は「コーヒーに合う本」。
そこで、本屋しゃんは考えた。コーヒー片手にじっくり本んを読む時間は愛おしい。だけど、コーヒーを飲む時ってぼーっとしたかったり、ちょっと空想にふけってみたり、どこか違う世界に旅したくなったりする。頭を動かすより心を動かしたくなる。今回は、コーヒーのほろ苦い味と香りに包まれることで、もっと心がコロコロ動いてくれるきっかけになるだろうな、と思う本を3冊を選びました。
『ともだちは海のにおい』著:工藤直子、絵:長新太、理論社、1984年
お茶がすきないるかと、ビールがすきなくじら。ふたりの絶妙な距離感と愛情表現に心はいつしかぽかぽかに。まさに珈琲時間の「ほっ」に似た感覚がこの本には詰まっている。工藤直子さんは、たいくつすると心がゆるんでくるから、ひとまず昼寝をするという。そんな時に虫や鳥やライオンや色々なものが入りこんでくるのだとか。いるかとくじらもそんな時に、工藤さんのところに入りこんできたそうだ。忙しい毎日だけど、珈琲飲んで、本読んで、のたり時間を楽しむと、あなたのもとにも、いるかやくじらがやってくるかもしれませんよ(本屋しゃん)。
『Distance わたしの#stayhome日記』著:今日マチ子、rn press、2021年
お気に入りのカフェで珈琲を飲む。両隣には透明の衝立と、座ってはいけませんの注意書き。「ソーシャルディスタンス」いつしか、この言葉はすっかりあたり前になった。そっと、今日マチ子さんが緊急事態宣言が発出された2020年4月から描き続けたイラスト日記を読む。今日さんの目に映った誰かの日常は静かで穏やかで、だんだん愛おしくなってきて、なんだかみんなを抱きしめたくなった。わたしにとっての大切な場所や人がたくさん頭に浮かんできた。そして、ちょっぴり泣いた。珈琲の苦さがさらにそうさせたのだろう(本屋しゃん)。
『みみをすますように 酒井駒子』著:酒井駒子、ブルーシープ、2021年
カフェオレみたいな色。あたたかい手触り。ずっしりとした重さ。はじめてこの本を手に取った時、「本っていいな」という気持ちがこみあげてきました。酒井駒子さん初の本格的な個展にあわせて生まれた画集『みみをすますように』。ほとんど言葉はありません。酒井さんの絵がずっとずっと続きます。しかし、驚くことに、そこから「音」が聴こえてくるかのようです。蝶の羽ばたき、あの子のまばたき、水たまり、雪、夜の静寂。きっと、わたしも子どもの頃は、めいっぱい耳を澄まして、この世界の聴き逃してしまいそうなささやかな音をキャッチしていたんだよなと、大人になって飲めるようになったお砂糖もミルクもなしの珈琲を片手に思うのでした(本屋しゃん)。
「本屋lighthouse」の選書とコメントも、ぜひ、BATICAでお楽しみいただきたいです!なるほど〜〜と、本屋しゃんにも大きな発見でした。 同じテーマだけど、テーマの受け取り方、切り取り方、出した答えが違っておもしろいなと感じました。「選ぶ」仕事って、なかなか奥が深いのですよ。
本屋しゃんは、飲み過ぎじゃない? と心配されるほど、コーヒーを飲む。
インスタントコーヒー、自分で豆を挽いて、カフェチェーン店で、お気に入りの喫茶店で。時と場合と気分によってコーヒーの飲み方も変わる。仕事しながら、惰性的に飲んじゃうことも、じっくりいっぱいを味わうことも、あの人とのんびりお話しするときのお供に、夜飲んでもいいじゃない!……。
小さい頃、母が飲むコーヒーを一口もらって飲んで、わたしにはまだ早い、と、色と香りと味で即座に察した。しかし、母が食後に必ず飲むコーヒー、喫茶店では必ずコーヒー、その姿がかっこよかった。コーヒーカップでもマグカップでも。
いつしか「わたしにはまだ早かった」はずのコーヒーが日々の欠かさない存在になった。それを飲む姿がかっこいいかどうかは別として、コーヒーを飲む時、母のことをふと思い出す。
コーヒーにテイストを求めるか、
人を映すか、
未来を感じるか。
それは、自由だ。
暮ら叱るデザイン編集室WEBサイト 『房総コーヒー2』紹介ページより
わたしにとってコーヒーは、過去の自分と母に出会えるタイムマシンみたいだなと、今回、コーヒーと改めて向きあって気づくことができた。
コーヒーと本が、みなさんの毎日を豊かな香りで包んでくれますように。
さ〜〜あ。
わたしも、BATICAの本棚作り担当だからこそできる選書、しなくてはいけない選書に磨きをかけないと!暮ラシカルデザイン編集室さんのお仕事に触れて改めて、気合が入りました。
フェア情報
房総コーヒー2 刊行フェア
会期:7月10日(土)- 8月1日(日)
時間:10:00-18:00(金・土は20:00まで)
会場:千葉市美術館ミュージアムショップ BATICA(バチカ)
※詳細は暮ラシカルデザイン編集室さんの公式WEBサイトをご覧ください