暑くてじと〜っとした一日でした。
もう夏が来たのかも、そんな気持ちになりました。
久しぶりにやって来た日比谷。
実は1年くらい務めていたことがあり、休憩時間は必ずと言っていいほど日比谷公園でぼーっと草木を眺めてましたねえ。
今日は、帝国ホテルプラザ内にあるMEDEL GALLERY SHUで開催中の内田ユイさんの個展「CEL CULTURE」に伺いました。
本展は、2021年2月にLIGHT HOUSE GALLERY・両国で開催された個展「CEL DIVISION」から続いていて、今回もタイトルは細胞培養(Cell Culture)を変換した造語です。
おちる影までもが美しくて、ハッと息を飲みました。
セル画がぐにゃりと折り畳まれ、襞がうまれて、立体になって、影ができる。
二次元には影は描かないと生まれないけれど、こうして連続性が折りたたまれることで、影を通じて現実の世界と溶け合うんだなあ。
細胞分裂を繰り返す。
今日のわたしはもういなくなる。
明日のわたしは別人だ。
そうやって、日々新しい物語がはじまってるんだな。
気づかないうちに。
きっと、昨日のわたしもどこかに折り畳まれて、わたしの中で襞になっているのかもしれない。
本展のタイトルにもちいられている「culture」という単語。
「culture」は「耕す、手入れをする」を意味するラテン語の「Colere」に由来してることを、本展の内田さんのステイトメントではじめて知りました。
それがね、自分の仕事に対する考え方と同じでストンと腑に落ちた。
わたしは、千葉市美術館のミュージアムショップ BATICAの選書、そして本棚づくりを担当しています。月に最低一回はお店に行って、品出しをしたり、本棚をメンテナンスしています。この本棚をメンテナンスすることを、わたしは「本棚を耕す」と呼んでいます。田畑を耕すように本棚を耕すんだ、育てるんだ。という気持ちで。
https://honyashan.com/archives/tag/%e5%8d%83%e8%91%89%e5%b8%82%e7%be%8e%e8%a1%93%e9%a4%a8
本展に出会えて、ああ、やっぱり本棚は耕すものだなって改めて思った。
ひとつひとつの本がセルかもしれない。
それが本棚に並ぶことによって一冊の時にはなかった意味や文脈、物語が生まれる。本棚が田畑かな。わたしが、それを耕して、その文脈が停滞しないように、さらに新しい物語を生み出すように育てていく。誰かがその本棚をみたり、そこから一冊手にとってみたりすることで、また耕されていくんだよね。
これからも、誰かに新しく何かを見出してもらえるように、誰かの物語が前進するお手伝いができるように、丁寧に耕していこうと思いました。
まさか、自分の仕事への気づきがあるとは思ってもいなかったけど、まさに、わたしの思考を耕し、細胞分裂を促し、新しい物語に誘ってくれた展覧会でした。
展覧会情報
内田ユイ|Yui Uchida
CEL CULTURE
会期:2021年6月29日〜7月8日
会場:MEDEL GALLERY SHU(〒100-0011 東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテルプラザ2F)
※詳細はギャラリーのWEBサイトをご覧ください