わたしは散歩することがとっても好きで、わざと気になる角を曲がってみたり、Y字路に差し掛かると左も右も試したくなったり、ささやかな冒険を楽しんでいます。
何気ない風景に、そっと生える草花に、誰かの人生に寄り添うお店に、誰かの生活。
ものすごいスピードで私をどこかへ連れて行ってくれる電車にのっていたら決して出会うことができない発見の連続。
こんな、散歩のようなできごとがtwitter上でおこったの。
何の気もなしに、タイムラインをぶわ~っとスクロールしていたら、パッと目に留まったのは「とうもろこし」の絵(バナナ以外の食べ物のにこんなに目がいくことは稀です)。
この「とうもろこし」、顔がある、腕がある、足がある。
なんてのびのびした気持ちいい絵なんだろう、なんて元気なとうもろこしなんだろう!
とひとめぼれです。
散歩してて目に入る風景の中に急に気になるモノが飛び込んでくるあの感じ。
二度見して、気になるモノを確かめに数歩引き戻るあの感じ。
そして、ああ、わたしの気になるセンサーは間違ってなかったなあ、と確認するあの感じ。
ん? 今、元気なとうもろこしいたよね? みたいな。
げんきなとうもろこしは、絵本作家・はらしままみさんの新しい絵本『とうもろこしぬぐぞう』(ポプラ社)の原画展の様子でした。
場所は湯島のブックストア&ギャラリーの「出発点」さん。
湯島、御茶ノ水あたりはわたしの散歩コース。んふ、嬉しいなあ。
ということで、仕事帰りにさっそく伺うことにした。
元気な「とうもろこし」に会いたい一心で、ね。
お散歩コースとは言えど、「出発点」さんへの訪問ははじめて。
ビルの2階にお店はある。
お散歩でたまたまステキなお店を見つけるのはそりゃあ、うれしいけど、行きたい!!!処に向かって歩いて、
看板を見つけたとの嬉しさも格別よね。
このかわいらしい看板を見つけた時も、わーーーい、きたぞーーーと心躍った。
雨だったけど、雨も楽しくなるよね。
トントンと階段をあがり、ドアをあけると「とうもろこしぬぐぞう」がたくさん。
きゃ~会いたかったです~とニヤニヤしちゃう。
画面越しでも伝わってきた元気が、原画を通じてよりビシビシ感じられる。
墨の力強くてのびやかな線。
とうもろこしのみずみずしさがつたわってくる水彩の透明感。
そして、とうもろこしぬぐぞうの、たのもしくも優しい表情。
力の入れ具合がよくわかる、とうもろこしのぬぐぞうの動き。
とてもシンプルな絵にみえるけど、原画に添えられたキャプションを読むと、ここにいたるまで、たくさん観察や研究を重ねられたことがわかり、情報を研ぎ澄ますためには、たくさんの要素の深淵を集約して図太い一本に出会うことが大切なんだなと、しみじみと感動しました。
絵本はとうもろこしの皮をむく方向と同じに開くようになっている!
いやん、たのしい。
『とうもろこしぬぐぞう』は、皮やヒゲをどんどん脱いでいくおはなしなんだけど、わたしもとうもろこしぬぐぞうみたいに、自分を重たくしてしまっているモノとか、要らないモノをすっきり脱ぎ去る潔さと勇気が欲しいなあと思いました。さっぱりして、ひとっぷろ、さいこうだな!
たまたま出会った、元気なとうもろこし。
とうもろこしぬぐぞうに元気をもらったぞう。
10月24日まで、ぜひ。
展覧会情報
はらしままみ『とうもろこしぬぐぞう』絵本原画展
会期:10月14日(木)~10月24日(日)まで *月・火はおやすみ
時間:13:00~19:00(水曜日のみ14:00~)
場所:ブックストア&ギャラリー出発点(〒113-0034 東京都文京区湯島2-5-6 清水ビル2階)
※詳細は出発点さんのWEBサイトをご覧ください。
https://shuppatsuten.jp/2021/10/10/tomorokoshi-nuguzou_2021/