BLOG

消えちゃったな

投稿日:

消えちゃったな。
久しぶりにアクセスした、元勤務先の書店のWEBサイト。


当時、わたしは勤務先の書店のWEB連載企画として、自分の名前を冠につけたブログを書いていた。
内容は、わたしがおすすめする展覧会や本の紹介、アートにまつわる旅の話、そしてアーティストへのインタビュー。

わたしに課せられたのは、WEBサイトへのアクセス数アップと、アートの書店であることのブランド力の強化、そこから繋がる店舗への来客数の増員といったところ。もちろん、大切なことであり、そしてとても難しい。どうやったら読んでもらえる記事にできるのか、どうしたらお客さまにおもしろい! また読もう! 更新が楽しみ! と思っていただけるのか試行錯誤の毎日。そんな会社からのミッションとともに、個人的に大切にしていたのは、もう少し俯瞰した視点。このブログで、アーティストの言葉や考え、この時代に開催されていた展覧会を記録する、文化を、そして今この時代に生きている人の「生」を残したいと思っていた。

イベントに関しても、である。今まで300本くらいのトークイベントや講座などを企画をしてきた。そのたびに、一回は2時間程度で終わってしまうものかもしれないけれど、今ここで起きていることも、話されていること、そして個の空気感も文化のひとつで、本当は一過的にするのではなく、美術館の所蔵品のごとく、イベントもアーカイヴして、出演者の言葉や考えを残さなきゃいけないよなと感じていた。写真を撮ったり、動画を撮ったりはしたけれど、それをうまく活用するまでには至れなかったな。あかん。



書店を退職した後、わたしが書いたブログはキレイに消されていた。退職した人の名前がタイトルになっているのを残すのは、確かに違和感があるのはわかる。わたしの言葉や考えはおいておくとして、アーティストの言葉が消えてしまったことは正直、悲しかったし責任を感じた。


って、思うなら、これからもしっかり残せよな! わたし! と自分に対する喝を入れるために、このブログを書いた。そして、仕事するときは、自分も文化の一端を担っているのだぞという俯瞰した視点を忘れるなよと。


誰かが残さないと、こぼれ落ちて消えていってしまうことはたくさんある。






-BLOG
-

執筆者:

関連記事

卵焼き

卵焼きが2切れ。ほんのり焦げ目がついた黄色い卵焼きが小皿にのせられ、食卓に並んでいる。ごはんができたよ~と母さんの叫ぶ声に呼ばれ、バタバタっと食卓につく。母の手料理がずらりと並ぶ中、そこだけ素朴に懐か …

長嶋祐成 作品展「bloom」@HATOBA・西荻窪~2022.7.16~7.24

久しぶりのハンサム食堂。アジアの雑踏を感じる小路を歩いていると、いや迷い込んでいると、思い出のお店に行きついた。上京してはじめて住んだ町は吉祥寺。吉祥寺だけでなく、東京の西側の雰囲気が好きで、近隣の町 …

星の夢を思い出す

アトレ上野内にあった「明正堂書店」が2022年5月10日に閉店した。上野に行く度に立ち寄り、ステキな本との出会いをプレゼントしてくれた本屋さんだった。創業110年。明治45年3月に上野に誕生し、下町を …

【レポート】TRiPー浮世絵×落語ー
第2回 テーマ:空
2023年5月13日@仲町の家・北千住

2023年5月13日(土)朝から曇天で、昼近くになると雨が降り出してきました。雨も美しい天候だけど、やはり「ああ、雨降ってきちゃったな」という気持ちにもなってしまいます。だって、今日は「TRiPー浮世 …

\本屋しゃんの旅−本とのたり品のお店「ひねもすのたり」で出会った本は、もっと歩いたり、もっと立ち止まったりしたくさせてくれた。『ともだちは緑のにおい』「小幡明 PapelSoluna(旅などの新聞)」/

不思議な名前のお店だな。尾道2日目の朝。今日はどこに行こうかしらと計画を立てる。だいたいわたしの旅は行き当たりばったり。目的地をひとつ決め、後は風に身を任せてフラフラ〜っと。まさに風来坊。いろいろ調べ …