ARTIST BLOG RECCOMEND 展覧会 本/ZINE

\世界の誰にも描けない君の絵を描いている 「江口寿史イラストレーション展 彼女」@東奥日報新町ビル New’sホール〜2021/5/9/

投稿日:

青森で開催中の江口寿史さんの展覧会「彼女」へ。
本展では400点に及ぶ「彼女」たちの絵が集結しています。
監修は、美術評論家の楠見清さん。


青森はそれはそれはいいお天気でした。
青空にはためく「彼女」フラッグ。
かわいさが増して見えちゃうのは、なぜ。


江口さんの「彼女」たちの時間と場面の切り取り方に感動しました。
パッとみた時の「かわいーよーー」の深淵に潜む、彼女たちの優しさ、切なさ、強さ……がたちこめてくる。目があうたびにドキッとする。ため息が耳を撫でる。深い深い一瞬が切り取られていました。

さらにわたしが普段目にしているのは、漫画やイラストレーションとして、いわゆる「完成」された江口さんの作品。本展では、そんなわたしの目に届く前のスケッチやドローイングが展示されていて、江口さんの絵を描く軌跡を拝見することができてよかったです。深い深い一瞬はどのように描かれているのか、江口さんはどのようにその瞬間をキャッチしているのか、そんな作品のはじまりと道中に出会うことで、完成された作品が不思議と立体感を増すとともに、江口さんの美学がより伝わってくるのです。



とある尊敬する人生の先輩が「ぼくはこの漫画で当時のカルチャーを知って大人の階段をのぼったんだ」と『ストップ!!ひばりくん!!』を教えてくれました。未読だったので、展覧会場のショップで買いました。


帰りの新幹線の中で、早速、読みはじめました。
まさか、漫画の中で忌野清志郎に出会えるとは、夢に思わず驚きです(本屋しゃんはキヨシローさんが大好きです)。ひばりくんがキヨシローに扮するシーンがあるのですよ。キヨシローだけではありません。たくさん散りばめられた、ファッションや音楽……「当時」の雰囲気が鮮やかに伝わってきました。わたしは、いわゆるその「世代」ではないのだけれど、なるほど、こんな感じだったんだなあって。いやはや、ひばりくんは、ドキドキしちゃう教科書ですね。


展覧会では江口さんゆかりの吉祥寺もたくさん出てきた。
吉祥寺は、わたしが上京してはじめて住んだ街。
なんだか、懐かしくて嬉しかった。




彼女。
得体の知れない、甘酸っぱさ。

彼女。
誰の彼女であって、誰の彼女でもない。

展覧会情報

世界の誰にも描けない君の絵を描いている
江口寿史イラストレーション展 彼女

会期:2021年3月13日(土)~5月9日(日)午前10時~午後6時
※会期中無休
会場:東奥日報新町ビル3階New’sホール(青森市新町2の2の11)

※詳細はWEBページをご覧ください
https://www.toonippo.co.jp/list/event/eguchi

-ARTIST, BLOG, RECCOMEND, 展覧会, 本/ZINE
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

\アズキは甘くておいしいだけじゃない/

本屋しゃんは、クリーム?あんこ?どっちが好き?と聞かれたら、迷うことなく「あんこ」です。洋菓子?和菓子?と聞かれたら、迷うことなく「和菓子」です。新潟名物 笹団子新潟の笹団子はもちろん、年に一度、お正 …

\季刊です。『tattva』vol.4 特集:どうやって歳とる? お手本なき世界で。/

春が立つ。そう、いつの間にか立春がすぎましたが、まだまだ寒い。しかし、時は止まらずに動いていて、春はきっと近し。時が経つ。もう自分でも嫌になるくらい「ああ、時間が経つのは早いね」なんて言葉を使ってしま …

\開幕!生命の庭 −8人の現代作家が見つけた小宇宙@東京都庭園美術館/

東京都庭園美術館のアプローチは最高に気持ちがいい。8月。夏盛りのある日。正門をくぐり、ふと上を向くと青々とした木々の葉の隙間を太陽の光が通り抜け、生きとし生けるものを祝福するかのようにキラキラと輝いて …

\アーティストを支える仕事:山口啓介「カセットプラント」/

本屋しゃんはどんなお仕事をしているの?とよく聞いていただけるのですが、「本とアート」を繋げ、溶け合わせ、この世界って楽しんだ!!と感じていただけるきっかけを作りたいになりたいという想いを軸に活動してい …

björk orchestralー2023.03.20@東京ガーデンシアター

「20回以上日本に来ているけれど、桜の季節に来たのははじめてなの」björk は無邪気に、そして嬉しそうに話してくれた。一生のうちに一度、たった一度だけでも、彼女の声に包まれたいと夢見ていた。björ …