開催概要
2021年9月より、東京の下町・谷中の老舗旅館 澤の屋と本屋しゃんが共同し、「旅館」を舞台に、「アート」と「本」そして旅人たちの交差点づくりをはじめました。コロナ禍で旅人は容易に旅ができず、旅館は旅人がいない客室が静かに並びます。そんな状況における本企画は、国籍も性別も年齢も関係なく、世界中からさまざまな人が集まる「旅館」という場所の特性を活かした作品展示やブックフェアを通じて、人が寄り合うきっかけを作り、 手触りのある関係を育む試みです。
このたび、MIOKOのイラストエッセイと小話マンガのZINE『だいたい布団の上。』vol.02の刊行を記念して、MIOKO個展「たまにはヨソの布団の上。」を開催します。本書の原画や原画ノートを中心に、 旅館 澤の屋の客室を活かした展示を行います。
ファッションモデルとして国内外で活躍をするMIOKO。
活動の場はファッションモデルにとどまらず、人形劇やパフォーマンス、そして絵を描くなど多岐にわたります。一見、つながりのない活動にも見えますが、そこにはMIOKOの「外」への関心があります。小さいころから自身の外見、そして人付き合いにコンプレックスを抱いてきたMIOKO。自分の「外」見と、「外」からの視点に苦悶しながらも、時を重ねるにつれて「外」の人たちからの肯定的な視点や言葉に触れることでコンプレックスは薄らいでいきます。 「外」への不安は「外」が解決の糸口となり、次第に「外」とも積極的な交流が必要である「人とものを作る」ことが一番好きなコミュニケーションであることに気づきます。
2020年から、MIOKOは簡易なノートに黒いボールペンを使って、日々、自身の「内」に漂う 「得体のしれない考え」を 、絵と言葉で日記のように書き留めてきました。それは、イラストレーションであり、漫画でもあり、私小説でもあります。 「 得体のしれない考え 」はだんだんと層になり、『 だいたい布団の上。 』という本の形になりました。
「布団」は日常に寄り添うアイテムでありながら、ゴロゴロしながら悩んでみたり、実家を想起してノスタルジーな気持ちをかきたてたり、ふわふわとまどろみながら夢の世界に誘われたりと、「内」と「外」をいったりきたりする不思議な場所かもしれません。 ノートに描かれた内容は、何気ない日常の一コマですが、「布団」を軸にMIOKOの「内」側の「得体のしれない考え」と、「外」への関心を読み取ることができ、MIOKOの多岐にわたる活動をつなぎ合わせる作品だといえるでしょう。
本展では、『 だいたい布団の上。』vol.02の原画をはじめ、MIOKOが普段使っているノートを初公開し、ZINEに掲載されていない原画もご覧いただきます。さらに、 本展メインヴィジュアルの原画やノートのパラパラ漫画風映像、MIOKO人形など、絵や映像、立体といったさまざまな形態の作品に加え、スケッチなどの関連資料も展示することで、MIOKOの活動を多角的に展覧します。
今回は、実際に旅館 澤の屋の「布団の上」での展示が実現します。ぜひ、その環境も含めてMIOKOのイラストエッセイと小話マンガを体験していただきたいです。旅館の和室という旅情掻き立てる場所で、得体のしれない世界への旅を楽しんでいただけますように。
ステイトメント
家のなかで、身体を縦に出来ない。大抵横になっている。
床の上で横になると身体が痛いから大抵布団の上にいる。
私は自分ちの布団の上が一番好きだ。
そのくせ時々遠出をしたがる。海外とか。
そして外に出たくせに、その出た先でも結局うだうだと布団にくるまって益体もないことを考えてぐるぐるしている。
どこにいても私は同じで、家の中や外でのぐるぐるやぐだぐだを時折紙にボールペンで描きつけている。
今回は澤の屋さんという旅館で展示をする。
「外」だ。
でもお部屋の居心地が良すぎて、布団はふかふかで、結局私は布団の上にいる。
MIOKO
展覧会の見どころ
・『だいたい布団の上。』vol.02 の原画を展示。
・原画ノートを展示。
※パラパラ漫画風の映像で全ページ放映。
・「たまにはヨソの布団の上。」展のメインヴィジュアルの原画ならびにスケッチを展示。
・会期中、MIOKO人形が在廊。
・MIOKOと本屋しゃんによる「生活」をテーマにした選書フェアを開催。
それぞれが選んだ本3タイトルを、選書コメント付きで紹介。
プロフィール
MIOKO
モデル、アーティスト
だいたい布団の上にいる。
本職はモデル。外国に行ったり映像に出たりアーティストとの仕事をしたりなど活動を広げつつある。絵を描いたり人形劇やパフォーマンスをすることもある。しかし私生活では基本的に怠惰でインドアな生活。ギャラリーに行く時は良く歩く。布団が好きと言いつつ不眠症気味。
活動履歴
2021 ライブペインティング “Hidden beauty” Enfold 丸の内旗艦店
個展「大きくなったり 小さくなったり」The secret museum
twitter: https://twitter.com/mioko_official
instagram: https://www.instagram.com/mioko_thanzuiyue/
旅館 澤の屋
世界中の旅人から愛される、東京の下町・谷中の老舗家族旅館
澤の屋旅館は戦後間もない1949年に谷中の地に開業。当時の宿泊客の多くは修学旅行生や商用の出張者等、主に団体のお客様にお越しをいただきとても賑わっておりました。しかし1970年代に入り個室でバス・トイレ付きのお部屋が好まれるようになり、駅から近いビジネスホテルへとお客様のニーズが変わっていきました。そして1982年ついにお客様がゼロの日が3日間続き廃業の危機が訪れました。これをきっかけに旅館の規模を縮小し家族だけで経営をする家族旅館とし、外国からのお客様の受入れを始めました。英語が得意な訳でもなく、日本独特の旅館というスタイルもあり当初はいろいろなトラブルに見舞われました。和室に靴で上がられたり、大きなお風呂の栓を抜かれたり、和式のトイレを汚されたりなど、やはり外国のお客様の受入れは無理ではないかと悩む日々が続きました。しかしこのトラブルは悪気があるわけではなく、日本と外国の文化習慣の違いによって起こっていることに気づきました。それからは館内に英語で注意書きをするなど、お客様に日本の文化習慣をご理解いただけるようになりトラブルはなくなっていきました。お正月にはお正月飾りや獅子舞をしたり、3月にはひな人形を飾ったり5月には菖蒲湯など、日本の文化の紹介と体験もこころがけております。これまでに世界92ヵ国、20万人のお客様にお越しをいただいております。
WEB: http://www.sawanoya.com/index.html
twitter: https://twitter.com/ryokan_sawanoya
メッセージ
まだまだコロナ渦が続き思うように旅ができない現在、旅行者の方は少なく澤の屋のお部屋も空室が多い状況です。しかし、そんな今だからこそできること、旅館の客室でのアート展示です。 モデルでありアーティストでありパフォーマー、そんな多才なアーティストMIOKOさんの作品展です。
テーマは布団!お家ではだいたい布団の上にいるというMIOKOさん。
今回はお家の布団から飛び出して澤の屋の布団の上です。ファッション好きな方、マンガ好きな方、読書好きな方、ぬいぐるみ好きな方、いろいろな方が交差する楽しい展示になると感じております。 ぜひ、多才なMIOKOさんの作品を見に来てください。
旅館 澤の屋 澤 新
基本情報
期間
2022年2月10日(木・布団の日)〜2月27日(日)
時間
月~木・日13:00~18:00
金・土13:00~19:00
最終日13:00~18:00
※鑑賞いただける時間は澤の屋の営業時間と異なりますのでご注意ください。
※物販も上記時間内のみです。
入場料
無料
お気軽に暖簾をくぐってお入りください。
会場
旅館 澤の屋
展示場所
・メインの展示部屋=2階の客室25号室
・食堂にてMIOKOと本屋しゃんによる「生活」をテーマにした選書ブックフェア開催
・食堂にてMIOKOのZINE、シルクスクリーン作品、関連書籍販売
※メインの展示部屋は、密を避けるために一度に3名さままでのご入室とさせていただきます。また、混雑状況により、滞在時間を制限させていただく場合もございます。ご理解ご協力のほどお願いいたします。
※メインの展示部屋にはデイユース、ご宿泊はできません。
※作品展示は2階までです。3階以上はデイユースやご宿泊の方以外の立入はご遠慮ください。
そのほか
アーティストの在廊日や、日々の展示の様子、最新のお知らせは、アーティスト、旅館 澤の屋、本屋しゃんのSNSでも発信してまいりますので、ぜひチェックしてください。
アーティスト MIOKO
https://twitter.com/mioko_official
旅館 澤の屋
https://twitter.com/ryokan_sawanoya
本屋しゃん
https://twitter.com/honyashan
アクセス/Access
会場
旅館 澤の屋
住所
〒110-0001 東京都台東区谷中2-3-11
交通
地下鉄千代田線「根津」駅より徒歩7分。根津駅の根津交差点口(1番出口)から表に出て、不忍通りを左方向へ進み、三つめの信号機(根津神社入口)を右に曲がり、まっすぐ約150m先の右側。
主催:本屋しゃん
共催 :旅館 澤の屋
special thanks : 境 貴雄