ふと考えることがあるのですよ。
今は、浮世絵が好き!!って言えるけど、そもそも浮世絵との出会いってなんだったっけ?と。なんで好きになったんだろうって。
地元・新潟で浮世絵を見る機会は、ほぼ皆無に等しかったし。
薄らぐ記憶と思い出を辿るとですね、そのきっかけはそう遠くないように思います。遡ること学生時代。まだうら若き乙女のわたし(うら若いが何歳を指すかは知らないけれど、今から見ればさ、あの頃は、そりゃーうら若いというか、超青二才ですよ)が経験した2つの出来事が、わたしを浮世絵好きにさせたんだと思う。
ひとつめは、noteでもご紹介しているように原宿にある浮世絵専門美術館・太田記念美術館との出会い。就活中にたまたま訪れたんだけど、浮世絵にハマらせてくれて、わたしのオアシスとなったのよ。それまでは、「まあ、浮世絵は好きかな〜」程度には思ってたんだけどね、太田記念美術館のおかげで浮世絵沼にひたひたです。
浮き世をいっそのこと浮いた心で踊りましょう。ー浮世絵専門美術館 太田記念美術館@原宿
そしてもうひとつは、歌川広重との出会い。こちらも学生の頃、とある展覧会(確か上野だった)のサブ展示?として、歌川広重の《名所江戸百景》が展示されていたの。それまで、このシリーズは見たことがなかったし、広重のこともよく知らなかった。だけど、ひっそり展示されていたこのシリーズの「構図」のかっこよさに度肝を抜かれて、鳥肌が止まりませんでした。こんな世界の切り取り方があるのかって!世界の見方を柔軟にしてくれたし、「浮世絵は渋い」「伝統文化」みたいなイメージを思い切り覆してくれた。現代を見つめるヒントがたくさんあると感じたわ。
そんな、わたしを浮世絵好きにさせてくれたきっかけの一つ太田記念美術館では、現在「月岡芳年 血と妖艶」が開催中。
月岡芳年/つきおか・よしとし(1839~92)は、幕末から明治時代前半にかけて活躍した浮世絵師です。当時も大変な人気を誇っていましたが、その迫力あふれる構図や鋭い筆遣いは、現在の私たちが見ても決して色あせていません。本展覧会では、「血」「妖艶」「闇」という3つの妖しいキーワードから、月岡芳年の魅力を掘り下げます。
太田記念美術館 公式WEBサイトより
展示会場には、ずーーーーーーーっと色気が漂っていて、ドキドキがとまらなかった。ここでいう、色気は艶っぽさもあるし、人間の湿っぽい心情とか、切なさとか……見ていると体があつくなってくるさまざまな感情を包括している。美人画はもちろん、妖怪も、血みどろ絵も色っぽいのよ。びっくりしたのは、「闇」の黒さ。芳年が描く闇はとっても深かった。大胆な構図と、繊細な髪の毛や着物の柄の描写、ものの質感をよく捉えた線の強弱……どれを取っても、ため息よ。
芳年の浮世絵を見ていると「美」が、単なる「キレイ」ではないことに改めて気づかされるし、「血と妖艶」はそれぞれに「生と死」が溶け合っていることを感じた。
太田記念美術館は、浮世絵を至近距離で見ることができるし、よくいう美術館疲れをすることがないステキな規模感だと思うから、美術館初心者さんや、浮世絵初心者さんにもオススメ!!キャプションも読み応え抜群で、浮世絵の知識がつくだけではなくて、各絵の物語にす〜っと入っていくことができるYO。
なんと!本展の図録が1200円というお手頃価格で販売されているのも嬉しい♪
過去には青幻舎さんから、同館監修で月岡芳年に関する本が2冊刊行されているのでこちらも要チェックね。
浮世絵好きな人はもちろん、本が好きな人、あと、写真やデザインをお仕事にされている方や、ファッション業界の方にもたくさんのヒントが詰まっている!と思う展覧会です。ぜひぜひ〜〜〜。
展覧会情報
月岡芳年 血と妖艶
会期:
前期 8月1日(土)~8月30日(日)
後期 9月4日(金)~10月4日(日)
処:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
※詳細は美術館WEBサイトをご覧ください
太田記念美術館のあれこれ
太田記念美術館は、SNSなどを通じて、浮世絵の魅力を様々な角度から伝えてくれています。浮世絵の扉を開けるのにぜひ〜。
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関連書籍
月岡芳年 月百姿
絶筆に美極まる——
月に導かれた最後の正気
無残絵で知られる芳年が最晩年に描いた知られざる傑作。和漢の物語や詩歌・謡曲の中の月にまつわる場面を題材とした、静かで趣深い100の歴史画。
著者:日野原健司
監修:太田記念美術館
出版社 : 青幻舎
ISBN-13 : 978-4861526282
月岡芳年 妖怪百物語
気が狂い、神降りる
凄味を増した怪しきものたち
初々しい20代の《和漢百物語》、精神を病んだ50代の《新形三十六怪撰》を完全網羅。
著者:日野原健司、渡辺晃
監修:太田記念美術館
出版社 : 青幻舎
ISBN-13 : 978-4861526275