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\かける魔法で毎日がもっと楽しくおいしくな〜〜〜る-はらぺこめがね 絵本『かける』(佼成出版社)(勝手に選書付)/

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『へんなおでん』に出会ったのは、北千住に引っ越してから間もない頃。
今から数年前。

早く街に馴染みたいなあと、毎日のように散歩をして下町らしい細く入り組んだ道を戸惑いながらも楽しんでいました。下町迷子もいとおかし。
その街を知るのに欠かさないのは、街に愛されるお店やさんめぐり。お団子やさん、お惣菜やさん、八百屋さん、お肉屋さん、お豆腐屋さん、パン屋さん、果物屋さん、文房具屋さん、自転車屋さん……。北千住にはいわゆる「○○屋さん」と呼ばれる専門のお店が元気に頑張っています。そこで忘れてはいけないのが、やっぱり本屋さん。下町散歩をする時に、真っ先に本屋さんめぐりを企てたの。商店街の本屋さん、商業施設の中の本屋さん。わたしがくるずっと前から、
北千住の人たちに寄り添ってきた本屋さんをはしごするのは幸せでした。

そんな中で、たどり着いた、とある本屋さんの絵本コーナー。そんなに大きいスペースではないけれど賑やか賑やか。平置き、面陳されている新刊や話題書、季節にあった選書たち。その次に、棚に刺さっている絵本の背表紙を拝見します。本の背表紙がかもすオーラって何でしょう。見逃しちゃいけない、きっと出会いがあるはず、毎回そんな気持ちになります。やはりこの時も出会ってしまいました。

『へんなおでん』はらぺこめがね (グラフィック社、2015)

あ、見切れてるのはダーウィン・オレンジというチューリップです。かわいいのです。

めがねが大好きな本屋しゃんは、「はらぺこめがね」という名前に惹かれ、「へんなおでん」がどれだけ「へん」なのかが気になり、そっと棚から抜いてページをめくってみて、恋に落ちてしまいました。

『へんなおでん』より

ページが3分割されていて、自分でいろんな組み合わせのおでんを作って遊ぶことができるの。画像は、本屋しゃんが食べてみたい「厚揚げ、太巻き、やきそばぱん」のおでん。ちょっと大人に厚揚げ、具沢山の太巻きで栄養満点!、パンも麺も食べたいな〜〜と欲張って焼きそばぱん。「へん」ですね。だけど、この奇想天外な「かけ算」遊びがとっても楽しいし、それぞれの「おでんの具」に添えられたオノマトペたちが楽しくて、思わず口ずさみたくなっちゃうの。ぼよん、ずぼぼぼ、ばくばっくん!!リズミカルに絵本を楽しめます。

北千住の本屋さんで、この絵本に出会えたおかげで、この街、好きになれそうだなって思いました。この絵本を大切に届けようとしてくれている人がいる街は、きっといい街に違いない、と。

そして、この度、はらぺこめがね さんの新しい絵本『かける』が、佼成出版社さんより刊行されました!パチパチパチパチ〜〜〜。佼成出版社さんといえば、たくさん魅力的な絵本を刊行されている出版社さん。エッジの効いたスパイシーな絵本が多いように感じます(ステキ)。

はらぺこめがね 『かける』(佼成出版社、2021)

「かける」がテーマのおいしそうな食べ物が満載の絵本。
ご飯にルウをかける、するとおいしそ〜〜なカレーライスに!!

ああ、それにしても、表紙のカレーからおいしそうすぎます。
この「おいしそうの臨場感」がハンパない!!!
これが、「おいしそう」のイデアなのではないかと思ってしまいます。
さらにページをめくるとたくさんの「かける」の魔法にかかってしまいますよ。


魔法をかける音も楽しい楽しい。
ちゅるるるるー
ちょろちょろぴゃっぴゃっ
ぱかっ どぅる〜ん
とろろんとろろんとろりろりん


さあ、これらの魔法の音はどんな「かける」かなあ〜。


食べ物は、まずは素材そのものでもおいしいし、それを調理したらまたおいしいし、さらに、いろいろかけ合わせたら楽しくおいしい。特にかけ合わせ方は千差万別、十人十色!! 本屋しゃんはカレーライスも好きだけど、シチューを白いご飯にかけるのも好きだったなあ。祖母が作ってくれた柿にヨーグルトをかけてチンしたデザートが好きだったなあ。目玉焼きには塩をかけるのが好み。たまに醤油。ラーメンにはこれでもかってくらいコショーと酢をかけるのが好き。納豆にわさびが最近のお気に入り。

『かける』でおいしい食べ物がもっとおいしく楽しくなるように、はらぺこめがねさんの絵本はいつだって、びっくり仰天な「かける」の魔法をかけてくれるので、この世界が、毎日がおいしく楽しくなります。

『かける』も最後は……。

はらぺこめがねさんの絵本を読んでいると、いつの間にやらお腹が空いてくる。
今夜は「かける」料理に挑戦しよう。

しゃららんら〜ん
さっさかさっさ
ぱらぱらぱっぱっ


どの魔法をかけようか、考えながら、まずは北千住の商店街でお買い物ね。

いろんな本屋さんが『かける』の刊行を記念して、売り場を賑やか〜にしているみたい♪ さらに!神保町のこどもの本専門店・ブックハウスカフェさんで原画展、さらにワークショップも開催されるようです。これはこれは、楽しみですね^^
気になった方は、ぜひ、お近くの本屋さんでゲットしてくださいねっ。

追伸
『みんなのおすし』(ポプラ社)で、はらぺこめがねさんが描く「手」はあったかくてかっこよくていいなあと感じたのですが、『かける』でも、あおのりをかける指先がまさに魔法をかけているようでした。手の込んだ物には美しい「手」あり。

関連情報

『かける』
はらぺこめがね

佼成出版社
2021年1月31日 刊行
https://books.kosei-shuppan.co.jp/book/b553531.html

はらぺこめがねさん原画展『かける』
会期:2021年1月 20日〜2月 9日
処:こどもの本専門&カフェ Book House Cafe
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F

※詳細はお店のWEBサイトをご覧ください。
https://www.bookhousecafe.jp/event_calendar/gengaten/



勝手に選書

誰に頼まれたわけでもないけれど、「かける」魔法がかかっている本を選びました。

ZINE『えんぎもの』エリカ・ワード(※本屋しゃんのお店からご購入可能)
『ことばの食卓』武田百合子&野中ユリ(筑摩書房、1991)
『アウトドア般若心経』みうらじゅん(幻冬舎、2007)
『桃尻語訳 枕草子』橋本治(河出書房新社、1998)
『もしもゆきがあかだったら』エリック・バテュ、もきかずこ訳(フレーベル館、2003)
『まるさんかくぞう』及川 賢治&竹内 繭子 (文溪堂、2008)



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