絵画、陶彫、マンガ、絵本、イラストなどのジャンルを縦横無尽に横断しながら独創的な世界を展開した立石紘一、ことタイガー立石、こと立石大河亞(1941-98)(千葉時美術館WEBサイトより)
すごい、紹介文に「こと」が2回も使われている。
タイガー立石さんは、本当に様々にジャンルを横断し、様々な表情を持ちわたしたちに、ナンセンスでユーモア溢れる世界を見せてくれたんだなとしみじみ感じます。
さあ!そんなタイガー立石さんの展覧会「大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師」が千葉市美術館ではじまりました!今回も、本屋しゃんが選書を担当している同館 ミュージアムショップ BATICA(バチカ)で関連ブックフェアを開催しています。
メインのフェアでは、祖父江慎さんが作品セレクションとデザインを手がけた『TRA』(工作舎、2010)、『ムーン・トラックス』(工作舎、2014)、タイガー立石+谷川俊太郎の絵本『ままです すきです すてきです 』(福音館書店、1992)をはじめ、タイガー立石さんの世界にどっぷりと浸っていただけるような本を選びました。
『TRA』は何度ページを開いても、ワクワクして、毎回新しい発見が全身をかけ巡ります。タイガー立石の魅力を祖父江さんがグイグイ引き出しているとともに、2人のユーモアがぶつかり合って溶け合って、もはや得体の知れないオーラを醸している一冊だと思います。『ムーン・トラックス』では、収録されている、美術批評家・椹木野衣さん、建築家・磯崎新さんによる解説で、タイガー立石さんの作品がお2人の視点で踊り出します。BATICAには椹木さん監修の同タイトルの展覧会の図録『平成美術−うたかたと瓦礫』(世界思想社、2021)、磯崎さん『瓦礫の未来』(青土社、2019)もご用意しています。ちなみに「平成美術−うたかたと瓦礫」は、磯崎さんの『瓦礫の未来』と鴨長明『方丈記』が土台になっているようです。
タイガー立石さんは福岡県田川市出身。筑豊の炭鉱町のお生まれなのです。
そこで、自身も筑豊の炭鉱で働きながら、炭鉱記録画家である山本作兵衛さんの書籍もご紹介。山本さんの炭坑記録画等は世界記憶遺産に登録されています。
本展の最後には、タイガー立石さんが故郷を描いた作品が展示されているので、是非ご覧ください。他の作品と違って、さらに自由でのびやかに見えるように感じました。
タイガー立石さんと一緒に「観光芸術協会」をされていた中村宏さんを特集した 美術をめぐる思想と評論誌『機關 15号 中村宏特集』(海鳥社、1990)もありますよ〜。お早めのゲットがおすすめです。
タイガー立石さんを高く評価され、展覧会も企画された美術批評家の中原佑介さんの本も。
そして、タイガー立石さんの時代はどんな時代だったのかしら、という方には、やはり、中ザワヒデキさんの『現代美術史日本編1945-2014』(アートダイバー)がおすすめ。本書は、註がたくさんあって、それを読むのがおもしろいのですよ!本編と伏線が同じくらい大切。読書の形としても新鮮だと思います。
『無門関』は、中国の宋の時代の禅の公案集。タイガー立石は60年代に本書に出会い、生涯大事にされていました。ここから着想を得た作品も遺されています。タイガー立石にとって、問答はナンセンスの源だったようですね。
って、本当は1冊1冊ご紹介したいのですが、キリがな〜〜いので、あとはお店で実際に手にとっていただけたらとっても嬉しいです。
メインフェアの他にも、もっと他の視点から「大・タイガー立石」展を、そして「千葉」を楽しんでいただくためのフェアも開催しています。
まずは、こちら!
大・タイガー立石展 関連フェア 養老渓谷の巻
タイガー立石さんが晩年を過ごした養老渓谷。養老渓谷はじめ、房総半島は、多くの画家や漫画家をひきよせています。漫画家・つげ義春さんもそのひとりです。代表作『ねじ式』の舞台は房総半島の漁村と言われ、旅エッセイ『貧困旅行記』では、養老渓谷の温泉に宿泊した思い出が綴られています。
房総半島を旅して、養老渓谷で温泉につかってホッと一息……いいですね。早くそんな日が戻りますようにという願いを込めて、つげ義春の漫画やエッセイ、さらに本の中でも旅ができちゃう本を選びました。本をおともに、ちょっとのんびりしてください。
そして、こちら!
大・タイガー立石展 関連フェア 縄文の巻
「大・タイガー立石」展を体験すると、作品のいろいろなところに「縄文」を彷彿させるモチーフを発見することになります。タイガー立石さんが晩年を過ごした養老渓谷周辺は、今から5000年以上も前、縄文人が自然との共同生活をはじめたと言われています。そんな土地で、タイガー立石は野焼きに魅了され、粘土をこねこね、立体作品をたくさん作りました。 そこで、タイガー立石さんの作品や精神、さらに養老渓谷という場所に漂う「縄文」の気配を「本」に置きかえました。縄文のうごめく力を感じてくいただけますように。
本屋しゃんは、美術が好き! 展覧会好き!な方と、本が好き!という方、そしてその「好き」の気持ちは繋がることができると考えています。
今回のフェアも、BATICAの本棚を通じて、展覧会の感動や知的好奇心を深めていただきたいとともに、本好きな方は美術への興味を、美術好きな方は本への興味を広げていただくきっかけに繋がったらいいなと、そんな想いで本を選んで、並べました。
展覧会と合わせて、BATICAもお楽しみいただけたら幸せです。
おまけ
トラつながりで、懐かしい絵本をご紹介しています。
お客様からは、懐しい〜の声が。
よく考えると、トラがクルクル回ってバターになっちゃうのは、ナンセンスな世界かも。
BATICAで忘れてならないのがグッズです!
今は、なんと、懐かしのゲームのミニチュアが展開されています。
本屋しゃんもパックマンをプレイしてみたけど、ハマっちゃいます(笑)
インテリアとして飾っておくのもかわいいこと間違いなし。
本もグッズもお楽しみください。
展覧会情報
大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師
会期:2021年4月10日[土] – 7月4日[日]
会場:千葉市美術館(〒260-0013 千葉市中央区中央3-10-8)
※展覧会の詳細は、千葉市美術館のWEBサイトをご覧ください
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/21-04-10-07-04/