あったかくなったなあ。
桜が咲いたなあ。と思いきや、もう葉桜。
だんだんと初夏も感じるような気温の日もちらほらとやってきて、季節が確実に進んでいるのを噛みしめる。
三寒四温の温に向いたか、近ごろになく、小春日和になりそうな、朝でもあった。
川端康成『舞姫』より
だけど、今週は月曜日からしとしと雨で、肌寒い。
街もなんだかしっとり灰色だ。
三寒四温。
3日間くらい寒い日が続いたら、そのあとに4日間くらいあたたかい日が続く。これが繰り返される。もともとは、中国北東部や朝鮮半島北部のシベリア高気圧の発達や衰えで起こる冬季の気象現象を指す言葉で、同地域では、かなり規則的に三寒四温が現れるらしい。日本では、この現象が明確に現れないけれど、冬から春に移り変わる季節に、「三寒四温」という言葉が使われるようになりました。
季節の移り変わり、スパーンと、はい!今日で冬は終わり、明日から春だよ〜ん、というわけにはいかないですものね。寒くなったりあったかくなったり、そんな季節がうごめく、季節が脱皮していく時期は、なんだか心がそわそわしたり、体調がいつもと違うなあと感じたりする人も少なくないかもしれません。
2021年4月5日より、アーティストあおきまゆこさんの個展
「うまく言えない三寒四温」が、
下北沢のBOOKSHOP TRAVELLERではじまりました。
本屋しゃんは、企画の伴走と選書をお手伝いさせていただきました。
本展は、アーティスト・あおきまゆこさんが2020年の夏から秋にかけて綴った日記をもとに作った、はじめてのZINE『この夏が終わるまで』の刊行を記念した展覧会です。会場では、本書に掲載されている写真と刺繍作品を展示します。さらに、三寒四温の季節に振り回される女の子の部屋が突如出現。女の子の部屋には、女の子が愛用していた古着、そして本屋しゃんが選んだ、読むと「うまく言えない気持ちなる本」が並びます。古着も本もご購入いただけます。
あおきさんが日記を綴ったのは、コロナ禍の中の夏。世界の表情、わたしたちの暮らしは180度変わってしまったかもしれないけれど、その年の夏も着々と秋へと移りかわっていった。世界が大きく変わっても、やっぱり季節の変わり目は、心も体も疲れちゃうし、なんだか寂しい。ちょっと立ち止まってみると、大きな変化のその陰に、ちょっぴり切ないけど愛おしい気持ちが変わらずに存在していることに気づくかもしれません。
あおきさんは「心身ともに疲れがちな季節にほっとひと休みしていただけたら嬉しい」と語ります。自身のうちにある言語化できない気持ちを、うまく言えない気持ちが愛おしくなっていただけたら幸いです。
展覧会情報
あおきまゆこ展「うまくいえない三寒四温 」
会期:2021年4月5日(月)~4月11日(日)
※休み:4月7日(水)
※会期中は、あおきまゆこさんが在廊されます(在廊時間は日によって異なる場合があります、あらかじめご了承ください)。
時間:12:00~20:00 ※最終日は19:00まで
入場料:無料
会場:BOOKSHOP TRAVELLER(本屋を旅する本屋さん)
企画・選書協力:本屋しゃん
https://honyashan.com/3kan4on
I LOVE下北沢に、本展をご紹介いただきました。 ありがとうございます。