千葉市美術館では2022年4月13日~7月3日に「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」展が開催されます。
このたびも、本屋しゃんは本展にあわせた選書&ブックフェアづくりを担当いたしました。光栄です。毎回、展覧会にどうやって「本」で応えるか悩みながらも、「アートと本」をつなぐべく、みなさんの好奇心に寄り添い、その好奇心を深堀したり思わぬ方向に広げたりしていただけるように選書をしています。
清水九兵衞/六兵衞(1922-2006)は 「彫刻」と「陶芸」と2つの表現方法で活躍した芸術家。本展は 清水九兵衞/六兵衞 の生誕100年を記念した、なんと初めての回顧展。祝! 九兵衛さんは、日本における抽象彫刻の第一人者で、関西を中心にパブリック・アートが多く設置されているので、生活に溶け込むように、いつの間にか九兵衛氏の作品を体験されている方も多いかもしれません。六兵衛さんは陶芸家としての名前です。1951年に京焼を代表する名家「六代清水六兵衞」の養嗣子となり陶芸の道に進み、六代六兵衞の急逝により「七代六兵衞」を襲名されました。
今回のブックフェアは、 清水九兵衞/六兵衞 が興味関心を抱いていたことに関する本、そして広く彫刻や陶芸の魅力を深堀していただくべく、彫刻の歴史や陶芸の門戸を開ける本に焦点を当てて選びました。
まだ 「九兵衞」と名乗る前のこと。「五東衞」という名前で染色家の三浦景生さんとの二人展を東京の養清堂画廊で開催しました。ここで最初の彫刻作品、そう「抽象彫刻」を発表しました。翌年67年には、彫刻に専念することを決意されて、68年から「九兵衞」と名乗るようになったそうです。そんな最初の彫刻作品が発表された二人展のお相手である三浦さんの作品集をご用意しました。 「五東衞」の彫刻作品と三浦さんの染色作品がどのように並び、どのような空間が生まれ、どのような空気が漂っていたのか、どのように親和していたのか気になりますよね。本を通じて、当時の様子をそれぞれに思い描いていただけたら嬉しいです。
九兵衛さんは、作品の構造と素材、そして作品と空間などと「親和(アフィニティ)」を追求してきました。「親和」というテーマに行きついた背景には、空間や建築と調和して共生をしているイタリア彫刻との出会い、さらに唐招提寺千手観音像が持つ周囲を擁する強い同化力、そして京都をはじめとする古都の街並みや黒瓦の連なりがあります。九兵衛さんが見て、体験し、感銘を受け、考察してきた対象に、本を通じて、一歩足を踏み入れていただくことで、氏が生涯、考え、表現し、大切にした「親和」について、一緒に考えるきっかけにつながることを願っています。
千葉市美術館の展示室でも、九兵衛さんの作品と空間の「親和」が起こっています。
この間や、空気は、ここでしか体験することができない「親和」です。
ぜひ、千葉市美術館で、みなさんも「親和」の一部になっていただきたいです。
展覧会情報
生誕100年 清水九兵衞/六兵衞
会期: 2022年4月13日(水) – 7月3日(日)
前期:4月13日(水) – 5月22日(日)/後期:5月24日(火) – 7月3日(日)
会場:千葉市美術館(〒260-0013 千葉市中央区中央3-10-8)
※詳細は美術館のWEBサイトをご覧ください。
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/22-4-13-7-3-2/