千葉市美術館では2022年9月14日~11月3日に「新版画 進化系UKIYO-Eの美」展が開催されます。
このたびも、光栄なことに本屋しゃんは本展にあわせた選書&ブックフェアづくりを担当いたしました。ありがとうございます。毎回、展覧会にどうやって「本」で応えるか悩みながらも、「アートと本」をつなぐべく、みなさんの好奇心に寄り添い、その好奇心を深堀したり思わぬ方向に広げたりしていただけるように選書をしています。
ところで、新版画とは?
江戸時代に目覚ましい進化を遂げた浮世絵版画の技と美意識を継承すべく、大正初年から昭和のはじめにかけて興隆したジャンルです。伝統的な彫りや摺りの技術に、同時代の画家による清新な表現を合わせようとした版元・渡邊庄三郎(1885-1962)の試みに始まりますが、昭和に入っていくつもの版元が参入し、大きな流れとなりました。
千葉市美術館 公式サイト「新版画 進化系UKIYO-Eの美」概要より
わたしが書店に勤めていた頃、日本美術の棚を担当していました。縄文時代から現代まで、びゅー--んと。日々、出版社さんから、すてきな本をご紹介いただいてとても幸せだったのですが、あるころから、「吉田博」「川瀬巴水」をはじめ、新版画に関連する本が増えたなと、その人気を肌を通じて感じていました。しかし、なるほど、彼らの作品をひとたび見れば、人気の理由もおのずとわかってきます。浮世絵で培われた素晴らしい彫りと刷りの技術と、気鋭の画家たちの化学反応は、ノスタルジックな気持ちを揺さぶりながらも、スタイリッシュで、時代に溶け込む心地よさがあります。さらに、新版画の作品の多くは、デザイン性に富んでいるように感じます。
今回の選書では、展覧会の出品作家の画集を中心に、新版画が興隆した大正から昭和の時代背景を学ぶことができる本を選びました。いやはや、それにしても新版画の画集は美しい装丁が多いですね。傍らに置いておきたくなる本がたくさんです。新版画はスタイリッシュでデザイン性に富んでいると感じたといいましたが、そんな点が、本との相性が良いのかもしれませんね。
ぜひ、展覧会のあとは、ミュージアムショップ BATICAにもお立ち寄りいただき、展覧会での感動を広げたり、深めたりしていただけたら幸せです。
小原古邨の画集がずらり。師である、鈴木華邨、そして華邨と同門の渡辺省亭の画集も共に。
展覧会情報
新版画 進化系UKIYO-Eの美
会期:2022年9月14日[水] – 11月3日[木・祝]
処:千葉市美術館
※詳細は美術館のホームページをご覧ください
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/22-9-14-11-3/