「TRiPの人たちー渡邉晃#01」でもお話したのですが、渡邉は「浮世絵と地形(高低差)というテーマでフィールドワークを続けています。年末に浮世絵と地形の本の出版をひかえていることもあり、今年は休みの日ごとに都内各所で書籍用の浮世絵の作画地点を訪ねたり、写真を撮ってまわる日々でした。その時に使ったのがサイクルシェアのサービスです。浮世絵の描かれた地点をめぐるのに最初はてくてく歩いていたのですが、サイクルシェアのサービスを使ったところ、効率が劇的に上がりました(当たり前なのですが)。現地で借りて好きなところで返せるのが便利なのと、土地の高低差を敏感に感じられるのがとても良いのです。そういえば『アースダイバー』で有名な中沢新一さんも、地形探索に自転車を使っているそうです。
実は渡邉はもともと自転車(クロスバイクや小径車)が大好きで、定期的に自転車のことばかり考えてしまう時期がくるのですが、今回の撮影を機にまた熱が再燃してしまいました。最近は時間を見つけては自転車で遠出をして楽しんでいます。
図は現在執筆中の本でも紹介している作品、歌川広重「深川洲崎十万坪」。荒涼とした深川の埋立地が描かれ、遠景に筑波山が見えています。写真は、最近東京タワーに上って筑波山方面を撮影したものです。江戸と東京の、長い時間の流れが感じられます。(文・渡邉晃)
【プロフィール】
渡邉晃(わたなべ あきら)
太田記念美術館上席学芸員。博士(芸術学)。「没後150年記念 歌川国貞」「生誕290年記念 勝川春章」「江戸の凸凹」「江戸の土木」などの展覧会を担当。著書に『江戸の悪』『江戸の女装と男装』(青幻舎)、『浮世絵動物園』(共著、小学館)ほか。学芸員としての傍ら、ジャズピアニストとしての活動も続けている。都内のジャズスポットを中心に演奏を行うほか、自己のバンドにて第39回浅草ジャズコンテストのファイナル出場。NHKBSプレミアム「名画の暗号」にてアン・サリーとピアノ・デュオで共演。
太田記念美術館WEBサイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
太田記念美術館twitter : https://twitter.com/ukiyoeota
【TRiPの人たちとは】
「TRiP」は、柳家あお馬(落語家)、渡邉晃(太田記念美術館 学芸員)、本屋しゃんの3人が作る「落語と浮世絵が出会う落語会」の名前であり、チーム名です。それぞれ活動するフィールドは違えど、「落語と浮世絵」をジャンルを横断することでもっと楽しんでほしい! そして、双方の魅力を広げたい! という想いのもとチームを結成しました。「TRiPの人たち」では、あお馬、晃、本屋しゃんが一体どんな人なのか、普段はどんなことをしているのかなど、メンバー三人のそれぞれの活動やなんでもない日常をお届けしていきます。TRiPをもっと楽しんでいただくための、ふりかけのような、そんなブログです。