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【レポート】落語 日本酒 酒菜「茶屋 しゃんりん」春 第四夜 :活動写真弁士 尾田直彪  @アーリーバード・アクロス(駒込)-2025年5月26日(月)

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あたたかな笑いと熱燗で、冬の夜に火がともる

春夏秋冬、年に4回しか出現しない「茶屋しゃんりん」。
茶屋しゃんりん 春のゲストは活動写真弁士の尾田直彪さん。
しゃんりんで、はじめての活弁の会でした。
春と言いつつ、初夏じゃん!! というツッコミを方々からいただきましたが…春のような心地よい空間と時間になったことは間違いない! とレポートを書きながら、当日のふんわりしたあたたかい空気感を思い起こしています。


会場準備をしていると、ほどなくして尾田直彪さんが会場入り。いつも通りグリップの効いた軍手を装着し、スクリーンを担いでの登場です。会場にスクリーンとプロジェクターがなかたっため、ご用意いただいたのですが、まさか、担いでくるとは!!! タクシーでいらっしゃったらよかったのにと伝えるも、「これが基本なので~」と引き続き爽やかな尾田さん。タフだ! かっこいい。
わたしも落語会を開催するたびに、座布団に毛氈に、めくり台に、めくりに…両手と背中いっぱいに移動する……そうですよね、結構体力勝負ですが…楽しい会を実現させるぞ!と思ったら、相棒である道具たちの重さなんてなんのそのか。とゴニョゴニョ頭の中で考える。とにもかくにも、改めて、尾田さんはタフでかっこいい。

本日の演目は…
『豹の斑はかうして出來た』(詳細不明、アメリカ)
『チキン戦争』(1928,アメリカ)
『私のパパさんママが好き』(1931,日本)
『お父さんの歌時計』(1937,日本)
の4本立て。

尾田さんの活弁は、まさに「声の魔法」でした。声のトーン、間の取り方、視線の誘導、息づかいに至るまで、そのすべてが繊細に計算されているのに、自然体で、自由で、やさしい。語り手でありながら、物語の登場人物でもあり、無声映画の観客のひとりでもあるような不思議な存在感がありました。

語りがはじまった瞬間、映像に新しい命が吹き込まれる。セリフやナレーションが加わるたびに、画面の中の人物たちが「いま、生きている」と思えるようになる。まるで映画が尾田さんの語りに合わせて動いているかのような一体感。
映像と語りが別物ではなく、むしろ“掛け合っている”と感じられるのは、尾田さんがスクリーンと客席のあいだにそっと橋をかけてくれるからなのでしょう。その橋を渡って、観客ひとりひとりが作品と“出会い直す”体験が生まれていました。

今回選ばれた作品は、ほっこりしたり、爆笑したり、ほろりときたり……と実にバラエティ豊か。それぞれの作品が持つまったく異なる空気感を、尾田さんは自在に行き来しながら語り分け、ひとつの夜に編み上げていきました。
作品の選定、上映する順番と、会の構成の妙にも唸らされました。「こんな映画があるのか!」という発見と、「こんなに面白くなるのか!」という驚きが何重にも重なり、心地よいテンポで会は進行しました。そして、どの作品も、ジャンルもタッチも異なりながら、尾田さんの語りによって新たな魅力をまとい、スクリーンから飛び出すような躍動感を持って観客の心を打ちました。コミカルに、そしてときにドラマチックに――尾田さんの語りは、「活弁が好きだ!」という純粋な情熱に裏打ちされていて、自然と観客を巻き込んでしまう不思議な力を持っています。

食でも語る、郷土と嗜好

この日も、会場では「野良ちりん」の特製酒菜が提供されました。
尾田さんの故郷・熊本の郷土料理をベースに、尾田さんが好きだというニシメ、蕪、茄子、ゴーヤを取り入れた、まさにこの日のための献立。
「おいしーーー!」という声が自然と漏れる、心も体もほぐれる食の時間となりました。

グッズ、爆誕!

さらに、アーティスト・Matsuhikoの手によって、「しゃんりん」オリジナルグッズもついに誕生!
山林アクリルキーホルダー。キッチュなオレンジがアクリルの素材にピタリとあって、どこかノスタルジーも掻き立てていい感じです。ホログラムな用紙を使ったパッケージもかわいい。キラキラ!
場の空気をまとうような、ここでしか手に入らないグッズは、今後のしゃんりんの活動に彩りを添えてくれそうです。今後のグッズ展開にもこうご期待。

月曜の夜からご機嫌に

会場を出てゆくお客さまの顔は、どこかほんのりゆるんでいて、
その胸の内にはきっと「今夜の“お気に入りのひと幕”」が、やわらかく残っていたのではないでしょうか。

活弁が好きな人も、はじめての人も、気づけば「また来たい」と思っていただけていたら嬉しいなと、みなさんをお見送りしながら思うばかりです。
これからも月曜日からご陽気な時間を過ごしていただける場所として、茶屋しゃんりんがみなさまのそばに寄り添えますように。

ご来場いただいたみなさま
尾田直彪さん
アーリーバード・アクロスのみなさま
応援いただいたみなさま
おいしい食材とおいしいお酒

そして、野良ちりんとMatsuhiko!

関わってくださったすべての方に心から感謝をお伝えします。
「茶屋しゃんりん」は、これからも日本の演芸と食文化を現代に呼吸させる場として、良いグルーヴを生み出し続けます。
次回もどうぞお楽しみに!

 

次回は、茶屋しゃんりん1周年!

次回の茶屋しゃんりんで、季節が一週めぐります。
おかげさまでの1周年!

ゲストは、茶屋しゃんりんの第1回目にご出演いただいた桂九ノ一さんです。一周年の祝祭にぜひお立会いください!

1周年! 落語 日本酒 酒菜「茶屋 しゃんりん」 夏
第五夜 :桂九ノ一

日程:2025年9月8日(月)
時間:19:00開場、20:00開演
場所:アーリーバード・アクロス
木戸銭:前売り3500円 (9/7 23:59まで) / 当日4000円  ※前売・当日ともに前菜+1ドリンク付き 
※お得な前売りチケットがおすすめです!9/7(日)23:59までの販売です(事前決済制、チケットの郵送はありません)。
※当日券は現金またはpaypayに対応
※ワンドリンク、ワンディッシュのご注文をお願いいたします
ドリンク+フード:キャッシュオン 500円~

詳細&前売りチケットのご購入はこちら↓
https://honyashan.com/welcome/shanrin05-katsurakunoichi/

茶屋しゃんりん 春 詳細

活弁 日本酒 酒菜「茶屋 しゃんりん」 春
第四夜 :活動写真弁士 尾田直彪

日程:2025年5月26日(月)
時間:19:00開場、20:00開演 
場所:アーリーバード・アクロス(〒170-0003 東京都豊島区駒込1丁目40−14)
木戸銭:3000円 ※前菜+ワンドリンク(日本酒orソフトドリンクに限る)付き!
ドリンク+フード:キャッシュオン 500円~ 
※ワンドリンクorワンフードのご注文をお願いします
https://honyashan.com/welcome/shanrin04-odatakatora/

これまでの茶屋しゃんりん

これまでの茶屋しゃんりんの様子をまとめています。ご覧ください

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