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\立春。さくらの蕾がほころんで、『うさぎのくれたバレーシューズ』のページをめくる/

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2021年2月3日、今日は立春。

立春は、紀元前の中国で生まれた「二十四節気」という太陽の動きに基づいた暦において、春のはじまり、そして1年のはじまりとされている日。

春が立つ。
背筋がしゃんとする言葉ですね。

この間、お花屋さんでクラスペディアという黄色いぽんぽんしているお花と出会ったお話をしました。

その時に「さくら」の花束も買いました。
まだ蕾がキュッとしまっている枝が数本まとまっている花束。蕾だけど、桜色がほんわか透けていて、咲いた時を想像すると、すでに心があったまる。

咲くのが楽しみ!

花束に「さくら」について説明が添えられていたわ。

さくら
バラ科サクラ亜属

桜便りが届く春は、
日本人にとって特別な季節。
日本には平安時代から品種の研究が行われ
原種10種を基本に300品種以上の桜が存在しています。
国指定の天然記念物になっている三大桜は樹齢1000年以上を超える古木です。

花言葉は 精神美、優れた美人
フランス語では
Ne m’oubliez pas(私を忘れないで!)

Aoyama Flower Market 桜の花束より

さくらの季節の特別な雰囲気。
心がふわっと浮き立つ、あの感じ。
何かがはじまる予感が漂う空気。
さくらに包まれると、花吹雪に包まれてどこか別のところにいけてしまいそうな妄想(わたしだけ?)も。
平安時代の人たちも、こんな気持ちになっていたのかなあ。

大きめのガラスの花瓶に活けて1日後。
きっと暖房によるものでしょう。
さくらの蕾がほころび、ひとつふたつと花が咲いていました。
優しくて淡い色。さくら色としか形容のしようがない唯一無二の美しい色。

さくらを見ると思い出す絵本があります。
さくら色の表紙。
ふわっと宙に浮く女の子が忘れられない。

『うさぎのくれたバレエシューズ』安房直子・文、南塚直子・絵(小峰書店)

バレエが大好きな女の子。
長年、バレエを習っているけど、なかなか踊りがうまくならなくて悩む日々。
お正月、お誕生日、七夕……いつでもお願いは「踊りがうまくなりますように」、ただそれだけ。

ある日。女の子は、一本の大きな桜の木の下で、うさぎの靴屋さんとうさぎのバレエダンサーたちに出会うの。満開の桜の木下で、うさぎの靴屋さんがくれたバレエシューズを履いて、うさぎたちと一緒に踊る、踊る、踊る。すると女の子は風のように蝶々のように、さくらの花びらのように踊れるんだよね。

わたしはバレエを習ったことはないけれど、この女の子のように、好きなのにどれだけやってもうまくなれないと幾度となく壁にぶち当たってきました。誰にもそんな経験はあるのではないでしょうか。諦めずに「好き」にしがみつく。あーでもないこーでもないと反復する。すると、どうでしょう、ある、ふとした瞬間に「!!!」という感覚がやってきて、それまでできていなかったこと、悩んでいたことがスルスル〜っとできることがある。体を動かすこともそうだし、仕事でもそうだ。一度出会えた「!!!」という感覚は、自分の体から簡単には消えないの。いつしか、その感覚は自分の土台として確固たる感覚、スキルになっていって、スルスル〜と使いこなすことができるようになる。

小さい頃は、わたしにもうさぎの靴やさんからバレエシューズのプレゼントが届かないかな〜。わたしの場合は、うさぎの画材屋さんから絵筆と絵の具がいいな〜なんて妄想をしていたな。魔法の絵筆と絵の具があれば、もっと絵が上手くなるはずなのに、ってね。だけど、今思うと、うさぎの靴やさんからのバレエシューズのプレゼントは、自分から自分へのプレゼントなのかもしれない。「好き」を大切にする気持ちと、諦めないで続ける気持ちがもたらす結果が、うさぎの靴やさんからのバレエシューズなんだなあって。

『うさぎのくれたバレエシューズ』は、南塚直子さんの優しい銅版画がまさに春の訪れを感じさせてくれる。どのページを開いても、重なる美しい色たちにうっとりと引き込まれちゃいます。

春。
何かがはじまりそうな予感。
ふわっと、飛びたくなる季節。


春のはじまり。
女の子のように、みんながみんなの「好き」に包まれる季節になりますように。


追伸
クラスペディアの黄色と、さくらのさくら色で、本屋しゃんの部屋が一気に春です。

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