おやおや12月になったようです。
2021年も残すところ1か月ですね。毎年毎年、いや毎日毎日、時間が経つのは早いなあとか言っちゃってるので、もっとどっじり構えていたい本屋しゃんです。2021年も最後まで歩くぞ~~~。
そんな12月のはじまりは、そりゃあひどい雨でした。
昼頃には止んで、あたたかな日差しが降り注いだけれど、夜から朝にかけてはザーザーぶりでさ、寝付けないし、眠れたと思ったらすぐ目が覚めちゃうしでさ。朝はなんだか頭のなかがぼやんとしていましたよ。
それから仕事に出かけ、そうそう千葉市美術館のミュージアムショップBATICAの本棚を耕しにね。そのあとは谷中に打ち合わせにいきました。本屋しゃんにとってはいたって普通の日。新しい月がはじまったということ以外には、いつも通り。だけど、無性にお手紙が書きたくなりました。むずむずと。嗚呼、今日、絶対書かなくちゃ! こんな気持ちってあるんですね。自分でも不思議でした。
手紙の相手は、山梨の本屋さん 敷島書房の店主である一條宣好さんです。
家に帰り、夕ご飯んおサラダをこしらえてパクパクもぐもぐ。それからゆずの香りの入浴剤を入れたお風呂に浸かって、湯上りのハーブティーを飲みながら、ペンをとりました。
一條さんとは、2020年2月1日から「わたしたちの南方熊楠-敷島書房と本屋しゃんの往復書簡」と題して文通をしています。テーマは南方熊楠(みなかたくまぐす)。お互いの良いタイミングに、伝えたいことがある時に、お手紙を出しています。
その、お手紙を出したい!気持ちがぐんと深まったわけです。前回、一條さんのお手紙をいただいたのが5月なので、すっかりお返事をお待たせしてしまいました。言い訳がましいけれど、コミュニケーションというか連絡がこれだけ円滑にとることができるようになり、効率!スピード!な世の中で、一條さんとのお手紙のやりとりは別の時間が流れているかのようで心地よいのです。数字では刻まれない時間とでもいいましょうか。わたしがインドを旅した時に感じた感覚に似ています。
そして、12月の夜に出したお返事がこちらです。
手紙17:一條宣好さま「街灯りについて考える」中村翔子より(2021年12月1日)
なんだか夜特有のテンションの高さと哀愁が漂っています。
夜は不思議な時間です。
お手紙の中にも書きましたが、今はどこに行っても物理的に透明な衝立があなたとの障壁として立ちはだかり、分断されてしまいます。もはやそれが普通の光景に。まだ、わたしは衝立にストレスを感じてしまうけれど、だんだんと慣れてきている自分がいることにも気づいています。しかし、一條さんにお手紙を書いていると、物理的障壁をひょいと乗り越え、繋がりの強い力を感じました。最近は分断にばかり目が行っていたけれど、こうして繋がっている感覚はやはりとても大切で愛おしいなと。
一條さんにお手紙は無事届いたかな。
今度、ポストに一條さんからのお返事が入っている日を楽しみに待っています。
わたしたちの南方熊楠
敷島書房の一條宣好と本屋しゃんの中村翔子は、それぞれにひょんなことから南方熊楠に出会った。そんな2人が、1冊の本を『街灯りとしての本屋。』をきっかけにお互いを知った。この誌面は、南方熊楠と一冊の本の縁によって出会った2人の本屋の往復書簡である。