千葉市美術館では、2022年3月6日まで「ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵」が開催中です。
このたびも、本屋しゃんは本展にあわせた選書&ブックフェアづくりを担当いたしました。光栄です。毎回、展覧会にどうやって「本」で応えるか悩みながらも、「アートと本」をつなぐべく、みなさんの好奇心に寄り添い、その好奇心を深堀したり思わぬ方向に広げたりしていただけるように選書をしています。
毎回、かっこいい千葉市美術館の図録。やはり、展覧会で得たわくわくは図録を通じて、お家でも楽しみたいですよね。図録のまわりには、「ジャポニスム」に気軽に入門できる本から、ちょっと深いところまで連れて行ってくれる本まで、さまざまな深度でジャポニスムに踏み込める本たちが並びます。
そんな選書のラインナップの一冊、三浦篤さんの『移り棲む美術―ジャポニスム、コラン、日本近代洋画』(名古屋大学出版会)が第34回和辻哲郎文化賞 一般部門を受賞されました!おめでとうございます!日仏の美術交流史にご興味のある方はぜひ、お手に取ってご覧ください。
もちろん、本展に出展中の絵師たちの関連書籍はもれなくご用意しました。
展覧会を通じて、気になる絵師、画家がいたらぜひ本で深堀してください。
本を配置しながら、鈴木春信とロートレックの本が並ぶ様子はなかなかないな~としみじみ。これも本展ならではの風景ですよね。千葉市美術館で2017年に開催された「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」の図録もありますよ~。他では手に入らないのでオススメです。
ジャポニスムは、日本の美術工芸品が、西洋の美意識に影響を与えた動向です。特に浮世絵は、多くの西洋画家たちに影響を与えたようです。本展はジャポニスムの画家たちの作品が浮世絵から取り入れた視点をきっかけとして、浮世絵の特性と魅力を再発見する試みです。一体、西洋の芸術家たちは、浮世絵のどのような点に美を見出し、感銘を受け、自分たちの芸術に取り入れようとしたのでしょうか。西洋の画家たちが日本のどんなところをおもしろい、美しい、取り入れたいと感じたのかを見ることによって、日本人は逆に自分たちの文化の魅力に気付くことができると思います。そこで、日本の美、日本人の美意識について、様々な視点から考えるきっかけを与えてくれる本を選びました。本を通じても日本の美の深淵に迫っていただきたいです。
さらに、現代の「西洋の眼、日本の眼」として、エリカ・ワードのZINEやグッズをご用意しました。エリカさんは、カリフォルニア出身で、現在は東京を拠点に活躍されています。 まさに、「内」と「外」の間に挟まれた文化的な背景を持っているとともに、浮世絵やアールヌーヴォーにインスパイアされた描写で、「街×だるま」「インスタント麺×盆栽」など、斬新にモチーフを組み合わせた作品は、驚きとたくさんの発見をもたらしてくれます。
ぜひ、ジャポニスム展の出品作とともにエリカさんの作品を通じて、時代を越えて「内」と「外」の視点で日本の美を考え、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ぜひ、千葉市美術館にお越しの際は、1階のミュージアムショップBATICAにお立ち寄りください^^
展覧会情報
ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵
会期:2022年1月12日(水) – 3月6日(日)
会場:千葉市美術館(〒260-0013 千葉市中央区中央3-10-8)
※詳細は美術館のWEBサイトをご覧ください
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/22-1-12-3-6/