先日、左足の小指にヒビが入りました。もうかれこれ数週間経つのですが、痛さがひかず…歩くのが、いやその前に靴を履くのが辛いです。足の指を普段意識することってないですから、ヒビが入ったことで、急にその存在を意識するようになり、こんなにちっこい骨なのに大切なんだなあと、痛さに耐えながらも、人体のおもしろさをふむふむと認識しながら自身の身体との対話を楽しんでいたりもします。しかし、やはり、痛いし不便なので、早く治ってねと湿布を貼って、テーピングして、ロキソニンを飲む日々です。
わたしの近況はこのくらいにして、ポストコロナのビジネス&カルチャーブック『tattva』vol.07刊行です。今回の特集テーマは「もし明日、わたしたちの仕事がなくなるとして」です。本屋しゃんが担当させていただいているトリメガ研究所さんの鼎談シリーズ「トリメガ研究所は語る」では、学芸員さんの仕事を深堀するべく「コレクション」をテーマに語り合っていただきました。美術館は展覧会を開催して、動員するだけではないのです。
島根県立石見美術館、青森県立美術館、東京藝術大学大学美術館、それぞれに収集方針/テーマ、それをもとにコレクションを行います。石見は「石見の美術」「森鴎外ゆかりの美術家」「ファッション」、青森も「青森ゆかり」であることが大きな土台です。東京藝術大学大学美術館は「教育のための参考品」「教育成果の記録」を目的とし、卒業制作から選ばれた優秀作品と、卒業生の自画像を収集する方針です。それぞれの美術館の「コレクション」を見ると、その美術館の役割や目指すところがわかるのですね。そんな方針に基づきながら、さらにどの作品をコレクションするか、どのようなコレクション文脈を作っていくかは、学芸員さんのセンス、そして審美眼にもよりますね。
作品をコレクションしたらそれで終わりではありません。石見の川西さんの言葉を借りれば「うちの子たちを輝かせる」ために、調査・研究、資料整理をしなくてはいけません。さらに、コレクション展などを通じて、作品を見せる、魅せる場づくりも大切なこと。青森の工藤さんが担当された「コレクション展2022-2:サマータイム・サマータイム」は、まさに「うちのこたち」が輝いていて、青森が育んできた文化、芸術、その土台である気候や風土や歴史、そんなところまで、感じ、学ぶことができました。
ぜひ、みなさんも、トリメガの美術館はじめ、ご自身の近くの美術館の収集方針を調べてみたり、コレクション展に行ったりして、どんな作品がどのように展示されているか見てみてください。きっと、コレクションを通じて、自分が住んでいる地域のこと、文化のこと、さまざまな発見に出会えるはずです。
今号の『tattva』には、東京国立近代美術館「大竹伸朗展」のキュレーター成相肇さんの取材記事も掲載されているので、アートファンの方にもますます手に取っていただきたいです。よろしくお願いします。
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