TRiPの人たちーあお馬・晃・本屋しゃん 企画記事 落語会

TRiPの人たちー柳家あお馬#11
あお馬先生

投稿日:

子どもたちに落語をおしえてきました。

約二か月弱の間で子供たちが一席の落語を披露できるようになるという
ワークショッププログラムの講師として参加をさせてもらいました。

「あお馬さん」と呼ばれることはあっても「先生」と呼ばれるのは初めての経験でしたので、「子供に落語を教えられるのだろうか」「最後まで落語を好きでいてくれるだろうか。その魅力を伝えるのに私にできるのだろうか」とはじめは不安と戸惑いが大きかったです。

今回小学校4年生から高校3年生のこどもたち8名が今回のワークショップに応募してくれました。「舞台度胸をつけたい」、「表現力を身につけたい」など様々な志望理由。この短い間で少しでもこの子たちの背中を押してあげられたらという想いで僕も本気で取り組ませてもらいました。

教えるネタも全部で8席。
それぞれに台本をこしらえて、参考動画を収録して。。我ながら八面六臂の活躍です。。

稽古は週に一回集まり落語指導、計4回の稽古を経て、2月2日が本番。
大和市のシリウスホール、サブホールが会場でキャパ150名くらいの会場。
前日の時点で前売りチケットが120枚を数え、期待の大きさが伺えました。

参加メンバーの子供たちも一週間で落語を覚え、「あお馬先生」の細かい演技指導にも挫けることなく8人全員が最後までついてきてくれました。
彼ら全員が今回初高座、はじめての落語の挑戦です。

舞台の幕が開くまで、お客様の反応もわかりません。「笑ってもらえるかな、、」という参加者みんなの不安を感じとれる場面もありました。
しかし「ただ覚えた落語を観てもらう会」ではなく、「お客さんに楽しんでもらう会」にまで高めていかなくては、指導者として舞台の醍醐味までは感じさせることができず彼らとお別れになってしまいます。必死にやって、必死にやって、必死にやって、初めて客席に笑顔があることも今回伝えたかったうちのひとつです。

そして先日の本公演「ティーンのはじめて寄席」というタイトルで8人の子供たちが舞台に上がっていきました。袖から舞台に上がっていく子供たち。好きなこととはいえ、緊張と恐怖に立ち向かう勇気に本当に胸が熱くなりました。


皆堂々たる高座で会場のお客さんをおおいに楽しませてくれました。
気が付けば「あお馬先生」本人が彼らの一番のファンになっていたとおもいます。

はじめてのことに立ち向かう勇気、緊張と恐怖に打ち勝つ逞しい姿勢にあお馬先生も心打たれました。

挑む姿は美しい!

終演後お客様アンケートには嬉しい言葉の数々。

「子供たちの勇姿すばらしかったです!」
「あお馬さんの指導力に感嘆しました!」
「本当よかったプロと比べても遜色なかった!」
「最後に出てきた人も上手かった!すぐにでもプロになれる!」などなど。

ちなみにこの会の最後に出たのは、僕だったんですけどね。


(文・柳家あお馬)

【プロフィール】
柳家あお馬 (やなぎや あおば)

1989年神奈川県出身。より多くの人に落語を楽しんでいただきたいという想いから、寄席や落語会に精力的に出演中。失敗しがちな落語の住人に、人間的な愛嬌を感じさせてくれる存在として、魅力を感じている。そんな「落語の可笑しみ、登場人物の愛らしさを素直に表現できるような噺家」を目指している。
WEBサイト: https://yanagiya-aoba.com/
X: https://twitter.com/yanagiyaaoba

次回のTRiP

千住宿開宿400年記念版
「TRiP ー落語×浮世絵ー」 
第6回 テーマ:宿

開催日 2025年3月15日(土)
時間 18:00開場、18:30開演〜20:30終演予定
※18:00~開演時間までOPENING ACT 渡邉晃によるJAZZピアノ
会場 仲町の家 (足立区千住仲町29-1)
アクセス 北千住駅より徒歩約10分
参加費 2,800円(税込) ※事前決済
https://honyashan.com/welcome/20250315trip-rakugo-ukiyoe-06/

【TRiPの人たちとは】

「TRiP」は、柳家あお馬(落語家)、渡邉晃(太田記念美術館 学芸員)、本屋しゃんの3人が作る「落語と浮世絵が出会う落語会」の名前であり、チーム名です。それぞれ活動するフィールドは違えど、「落語と浮世絵」をジャンルを横断することでもっと楽しんでほしい! そして、双方の魅力を広げたい! という想いのもとチームを結成しました。「TRiPの人たち」では、あお馬、晃、本屋しゃんが一体どんな人なのか、普段はどんなことをしているのかなど、メンバー三人のそれぞれの活動やなんでもない日常をお届けしていきます。TRiPをもっと楽しんでいただくための、ふりかけのような、そんなブログです。

【これまでのTRiP】

これまでのTRiPの活動のアーカイブページです。各会の詳細、レポートはこちらから。


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