BLOG

björk orchestralー2023.03.20@東京ガーデンシアター

投稿日:2023-03-23 更新日:

「20回以上日本に来ているけれど、桜の季節に来たのははじめてなの」
björk は無邪気に、そして嬉しそうに話してくれた。

一生のうちに一度、たった一度だけでも、彼女の声に包まれたいと夢見ていた。
björk の来日を知り、チケットを購入したのはいつだったっけ。去年2022年の秋頃だったかしら。
2023年3月20日なんて随分先だな、だけど、きっとあっと言う間にやってくるんだろうなと思いながら、いつもどおり生活していた。

予想通り、2023年3月20日という随分先のその日は、あっという間にやってきた。
「björk orchestral」
björkと指揮者と32人のオーケストラ。

19:00ちょうど。本当にぴったり。
オーケストラ、指揮者に続きbjörkがステージにあがる。
春らしいやわらかい緑色の打掛のようなデザインのドレスにキラキラ輝くヘッドピース。

わたしの席は5階のバルコニー。ステージを俯瞰するような場所でステージ上のbjörkはとても小さく見える。しかし、それはあくまでも物理的なこと。表層的な問題。
björkはとても大きかった。彼女がはじめの声を放った瞬間、中空の空気が細やかに振動して、ホール全体に波紋が広がるように「音楽」が充満していくのが分かった。


björkの声とオーケストラの生音だけで、次々と力強い音楽が爆発していく。
神々しさに酔いしれていると、björkは突然歌うことが大好き! と言わんばかりの無邪気なかわいらしさを覗かせる。キュート。

どんどんどんどん地球の真ん中に向かって深く没入していく。
そして、いつの間にか、わたしの身体の中から言葉が抜け落ちていく。
言葉が追いつかない感動。


I’ll be brand new
Brand new tomorrow
A little bit tired
But brand new

(björk「Pluto」より)

アンコールを終え、björkが立ち去る。
すると、björkの声と音楽がベールを纏うかのように身体に残り、わたしを包み込み、肌を優しくなでる。さっきまでの没入感とは違い、とても軽やかな柔らかい気持ち。
björkに触れて心と身体が新陳代謝したようだ。

2023年3月20日という随分先のその日は、あっという間にやってきて、あっという間に終わった。
一生のうちに一度、たった一度だけでも、彼女の声に包まれたいと夢見ていた。
夢がかなった喜びと、楽しみが過ぎ去ってしまったスプーンひとさじくらいの寂しさが湧いてくる。


夜空に、桜の花がほころびはじめていた。
このあたたかさだと明日はもっと咲きそうだ。
Brand new tomorrow.

https://smash-jpn.com/bjork2023/orchestral/









-BLOG
-,

執筆者:

関連記事

吉田 和夏|まばゆい迷路GALLERY MoMo Ryogoku~2024年 2月17日(土)

ニコちゃんマークがポルカドットのように配された派手なセーターが軒先につるされている。地はネオングリーンで、ニコちゃんマークを囲むようにスパンコールが付けられている。けばけばしいくせに、満面の笑みを向け …

\本屋しゃんの旅-おのおの倉敷の太陽に集まって。夕方のアンデルセン広場と早朝の美観地区(勝手に選書付)/

倉敷に着いたのは夕刻。尾道から倉敷は山陽本線で1時間ちょっと。学生さんやお仕事帰りの方たちに混ざって電車に揺られる。スタバの新作のなんちゃらフラペチーノがおいしいとか、テストの点数が散々だったとか、部 …

\絵本作家・はらぺこめがね と音楽家・西井夕紀子 セッション!「お腹いっぱい愛いっぱいXmasライブペインティング」@銀座 蔦屋書店 アーカイヴ動画/

銀座 蔦屋書店さんの2020年のクリスマスイベント絵本作家・はらぺこめがね と音楽家・西井夕紀子 セッション!「お腹いっぱい愛いっぱいXmasライブペインティング」の企画・コーディネートをしました。銀 …

笑福亭羽光 末廣亭初主任興行ー末廣亭 3月下席 夜の部 初日「土橋萬歳」ー2023.03.21~03.30

なりやまない拍手。誰ひとりとして席を立とうとしなかった。いや、立てなかったというのが正しいかもしれない。感動の圧で身動きが取れなかったのだ。わたしもそのひとり。「エロを封じて、古典落語と新作落語を半分 …

【レポート】笑福亭羽光 「本から生まれた落語」の会第1回:中島敦『山月記』から生まれた落語 「落語家変身譚」 ー2024年5月24日(金)@BOOKSHOP TRAVELLER

虎にしか見えない。艶のある黄色い着物に、黒い羽織という出で立ちの笑福亭羽光師匠。もはや高座は山林と化し、哀しみの虎が右へ左へ体をゆする。2024年5月24日祖師ヶ谷大蔵の本屋のアンテナショップ「BOO …