4月某日。
新宿のルノアールでTRiP会議を開きました。第1回目の反省&これからのTRiPのアイディア出しです。
おのおの紅茶やコーヒーを飲みながら、持ち寄った反省点やアイディアをぶつけ合っていると、あお馬さんが「ぼくもピアノ弾きます!」と宣言。
「ぼく❛も❜」。
そうです。TRiPはジャズピアニストとしても活躍する渡邉晃さんがBGMや出囃子を生演奏するという、実は、落語と浮世絵と音楽が濃厚に絡み合った会なのです。しかし、渡邉さんが一人で全場面の音楽を弾いてもらうと、どうしてもバタバタしたり無音になってしまう瞬間がでてきてしまうことに悩んでいました。
そこで、「ぼく❛も❜」なのです。あお馬さんもピアノを弾いて、場を盛り上げようというアイディアです。「今までピアノはほとんど触ったことないけれど、下手でも、間違っても、笑われても、お客さんに楽しんでもらうために挑戦してみます!」 とあお馬さん。あお馬さんの落語会を通じてお客様に楽しんでいただきたいという熱い想いがビシビシと伝わってきます。「超いいじゃん!!」と、渡邉さんも本屋しゃんも、驚きつつも大賛成。いいね、いいねと、わいわいしていると……
「本屋しゃんも…弾きますか?」と、あお馬さんの視線がわたしに。
「お、いいじゃないですかー」と、たたみこんでくる渡邉さん。
「よっしゃー。わたしも弾きます!」、もうやるしかない本屋しゃん。
以下、本屋しゃんの心の声。
いや、待てよ。ピアノは好き、好きよ。
もちろん、渡邉さんのピアノはラブだし、夜な夜なビル・エヴァンスなんかを聴いちゃってるわ。
だけど、小さい頃、エレクトーンの練習が嫌すぎて、3日でレッスンを逃亡したわ。
未だに、何で左右の手の指が別々の動きができるのかわからないわ。
そんな、わたしがピアノに挑戦するの?! 大丈夫かよ。
……
さっきのあお馬さんの言葉。「下手でも、間違っても、笑われてもいいじゃん。お客さんに楽しんでもらいたい」。これだ。かっこつけることはない、お客さんに楽しんでもらって、そしてチームで楽しむことが一番だ。それに、この年齢になって新しいことに挑戦できるのは最高にワクワクするな。
こうして、渡邉さんにピアノの先生になってもらって、あお馬さんを筆頭に、本屋しゃんもピアノを練習しようということにあいなりました。
すると…さすが、あお馬さん! 早速、「練習用の電子ピアノをゲットしました~」とグループLINEにメッセージが届く。この男、本気です。
↑「さて。イチからです……」の図。
下手でもいいから挑戦してみる。
落語の「人間臭さ」という魅力、JAZZの「グルーヴ感」が増して、より良いチーム、良い会に育ちそうな予感がしています。
近々、3人でスタジオを借りて、練習にいってきまーす。
まずは、「きらきらぼし」かな、「ねこふんじゃった」かな。
その模様もまた、ご報告しますね。
【プロフィール】
柳家あお馬 (やなぎや あおば)
1989年神奈川県出身。より多くの人に落語を楽しんでいただきたいという想いから、寄席や落語会に精力的に出演中。失敗しがちな落語の住人に、人間的な愛嬌を感じさせてくれる存在として、魅力を感じている。そんな「落語の可笑しみ、登場人物の愛らしさを素直に表現できるような噺家」を目指している。
WEBサイト: https://yanagiya-aoba.com/
twitter: https://twitter.com/yanagiyaaoba
【TRiPの人たちとは】
「TRiP」は、柳家あお馬(落語家)、渡邉晃(太田記念美術館 学芸員)、本屋しゃんの3人が作る「落語と浮世絵が出会う落語会」の名前であり、チーム名です。それぞれ活動するフィールドは違えど、「落語と浮世絵」をジャンルを横断することでもっと楽しんでほしい! そして、双方の魅力を広げたい! という想いのもとチームを結成しました。「TRiPの人たち」では、あお馬、晃、本屋しゃんが一体どんな人なのか、普段はどんなことをしているのかなど、メンバー三人のそれぞれの活動やなんでもない日常をお届けしていきます。TRiPをもっと楽しんでいただくための、ふりかけのような、そんなブログです。