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【レポート】「字遊落語会ー『字遊落語絵図録』刊行記念」出演:立川寸志、勝倉大和、本屋しゃんー2025年12月17日(水)@ブックカフェ ハレキタザワ・竹ノ塚

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演目
一、死神 寸志
一、字遊落語絵図 舞台裏トーク 大和、寸志、しゃん
仲入り
一、棒鱈 寸志

「『字遊落語絵図録』がとてもすてきだから、うちで何かやりませんか」
と、東京は足立区の竹ノ塚にブックカフェハレキタザワさんに声をかけていただいた。仲間と作った本を手に取っていただき、好いていただき、さらに次のアクションまでご提案いただけるなんて…とても嬉しい。

ちなみに『字遊落語絵図録』は、竹ノ塚を拠点に活躍するイラストレーター勝倉大和さんのはじめての作品集。、落語絵・立川寸志さんと勝倉大和さんが選んだ落語十席を、勝倉さんがイラストレーションにし、それをまとめた一冊。各演目の解説付き!

千住に住んでいながら、足立区のほかの町に出かけたことがなく、ハレキタザワさんとの打ち合わせのためにはじめて竹ノ塚を訪れた。駅がでかい、キレイ! 何でもあるじゃん! と…言葉にすると無機質だけど、結構駅に感動しながら、てくてくと歩みをすすめる。

何やらマンホールなどなどに「かえる」がたくさんいる。かえる…?
「そういえば、千住に引っ越したてのころ、足立区のことをいろいろ調べた。その時に、かえるだだらけで、かえる相撲が執り行われているお寺を発見して、いつか行きたい!!」と思っていた。もしかして、竹ノ塚にそのお寺が?!とピンときて調べてみると…やはりそうだった。「炎天寺さん。こちらのお寺さんは小林一茶ゆかりのお寺で、一茶がよくお寺の周辺を散策し句を残したそうです。その中の一句が「やせ蛙負けるな一茶是にあり」。そこで、炎天寺さんでは毎年、一茶をしのぶために「奉納蛙相撲」や「はいく想像力クイズ」などを開催しているのだとか。ふむふむ。「いつか行こう!」の「いつか」を実現できていないから、今度こそ行ってみようと思うのである。それにしても、いい句だな。弱っちくても、応援してくれる人がいるとなんだか強くなれるものです。わたしも応援してくれるみなさまを一茶の句から思い出した。

いけません。落語会の話の前置きが長くなってしまいました。そんなこんなでブックハレキタザワさんに到着! する前に、勝倉大和さんが横断歩道の向かい側で手を振って、わたしの隣にはいつの間にかほかの場所で友だちになったお姉さんが自転車に乗って信号を待っている。ん? 勝倉さんとお姉さんも友だちで、お姉さんも今からハレキタザワに行くところだという。なんと奇遇な。



はい、今度こそ到着!すてきな洋風のお家でドアを開けるのがドキドキワクワクするたたずまい。ハレキタザワさんは、西新井に本社を構える「北澤商事」が「地域コミュニティの拠点になれば」と元々レストランだった場所にオープンしたブックカフェです。入場料300円を払うと、フルードリンク付きで1日い放題! 名前の通りブックカフェで、現オーナーのお母様が大切に集められた書籍が本棚に並んでいます。こちらでは仕事をする人、こちらでは折り紙のワークショップ、あちらでは染物の教室、その隣で親子がのんびり過ごしている……それぞれの訪問者が自分の時間と空間を過ごしながら、それぞれがゆるやかにつながっている、ひとりひとりのための「居場所」で、集う場所なんだなと、すぐに直感しました。コンサートや読書会など、日々イベントも開催していて、すてきなコミュニティも作られているようでした。それもそのはず、お家そのものが持っているあたたかさと、オーナーのお人柄で満たされているんだなって打ち合わせをしながら思いました。ちなみにハワイにルーツがあるという北澤ご一家。ハレキタザワのハレはハワイの言葉で「お家」という意味なんですって。みんなのお家だな。素敵。


「字遊落語会」を開催しましょう!
お店のこと、オーナーのこといろいろなお話をお伺いする中で、すぐに落語会の開催を決めました。
ハレキタザワさんではじめての落語会の誕生です。

「字遊落語会」では、『字遊落語絵図録』に収録した演目から『死神』を、そしてまだ絵にしていない演目として『棒鱈』を寸志さんに披露いただくことに。『棒鱈』は、落語会で勝倉さんに取材いただき、後日、絵にしていただこう!!と、字遊落語会を通じて、字遊落語絵図シリーズを続けていこう!と相成りました。なので、『死神』の絵が落語として立ち上がり、『棒鱈』が絵になるまでの作品誕生前夜に立ち会えるという落語会。我々3人にとっても挑戦心燃える会となりました。

会場には、『字遊落語絵図録』に収録した作品の原画を展示。作品に囲まれての落語会、なんだか遊び心満載で空気がコロコロと踊っているようでした。

一席目は『死神』。金もなく、女房からも馬鹿にされて、生きる気力を失った八五郎。家を飛び出して死んでしまおうと思い定めた時、小汚い老人に声をかけられる。老人は死神を名乗り、「医者になって金儲けをしないか」と持ち掛ける。死神曰く、医者になって長患いの病人宅を訪れ、寝間の床を見てみろ、必ず枕元か足元に死神が座っている、足元にいる時に呪文を唱えれば病人は治るが、枕元の場合は手を出すな、その呪文は――。半信半疑で医者を名乗り、いざそのまじないを試みたところ、大成功。名医だ神様だと崇められ、大儲け。ところがある日、とんでもない大金に目がくらみ、その場の思い付きで「枕元の場合」の約束を破ってしまい……。

立川寸志さんの「死神」は、どこかチャーミング。あちらの世界からこちらの世界に、愛嬌をまとって入り込んでくるかのよう。しかし、終盤似ると、そのチャーミングさがそっくりそのまま裏返る。親しみやすかった分だけ、距離が断ち切られる感覚が強く迫ってくる。寸志さんの間と声色がその距離感を断ち切ってくる感じを十二分に増幅させる。サゲたあとに、その場に、すっとした静けさと緊張感を残すのは、さすが寸志さんだと感じました。


勝倉さんが描いた『死神』を思い起こしながら聴いていると、言葉の一つひとつが、すでにどこかで「見たことがある形」を連れてくるかのよう。あの場面、この構図、この文字の置かれ方。絵の記憶が、声に引き出されていく感覚。「絵になった世界を、あらためて耳でたどる」、
絵と落語を往復する、そんな不思議な体験ができたようでした。

続いては、勝倉大和さん、立川寸志さん、そして本屋しゃんによる『字遊落語会絵図録』制作舞台裏トーク!! 本番前、緊張していた勝倉さん。寸志さんに「人前で噺をするのは緊張しないのですか」「落語家になる前から話はうまかったですか、緊張しなかったですか」と質問をして、トーク時間への気持ちを整理していた様子。いざ、本番になると…勝倉さんの緊張はどこへやらで、「文字」を土台に絵を描くようになったきっかけ、「字遊落語絵図」の舞台裏をたくさんお話してくれました。

なぜ、文字絵をはじめたのか……

①地元のグラフィティがおもしろかった
②テレビゲームの世界 スーパーファミコンから任天堂64、2Dのゲームから3Dのゲームへの移行を目の当たりにして、立体的な世界を自分の思うままに操れる感動
③コラージュアート
④字は汚いけど絵なら世界一おもしろい字が描けると思った


そんな、勝倉さんが描く文字絵に惹かれた本屋しゃん。言葉をこんなに遊べる人の作品はきっと落語と相性抜群で、絵も落語ももっともっとおもしろいことになるのではないか?!と、本屋しゃん企画の落語会「落語夜学会」のメインヴィジュアルを依頼したことをきっかけに、では今度は落語を絵にしてみないかい?!と、それまで落語にあまり触れてこなかった勝倉さんをどんどん落語の世界に招いて言った次第。

『字遊落語絵図録』は、落語を「説明」するための本ではないですし、噺をそのまま写すのでも、要約するのでもありません。勝倉さんが落語を聴いておもしろいと感じた要素を抽出し、文字という舞台にその要素を組み込んでいきます。落語を一度、字と形にほどいて、それらをまた集めて絵にするけれど、見る人のなかで噺が立ち上がる余白は残っている、むしろさらに落語への想像力を掻き立てる、そんなシリーズだと、わたしは考えています。

寸志さんは「字遊落語絵図は、言葉を使わずともその落語の世界が、落語の魅力が一気に同時にとびこんでくる」と、その魅力をお話されました。確かに、これがこうなってあーなってと順序だてての説明ではなく、一枚の絵として落語の世界がぶわーっとむかってきますね!

最後は寸志さんで『棒鱈』。今度は何を絵にしようと勝倉さんと相談し、寸志さんにリクエストした次第。
『棒鱈』は、料理屋の二階で、江戸っ子二人が酒を飲んでいる。一人はすでに大酔い。芸者を呼んで待っていると、隣の座敷に薩摩の侍が入り大騒ぎ。「赤べろべろの醤油漬け」「エボエボ坊主のそっぱ漬け」と妙な呼び方で料理を注文する。さらに野暮な歌を大声でうたう様子に、江戸っ子は腹を立て様子を覗きに行こうとするのですが…。

寸志さんの薩摩の侍は、野暮ったくても愛嬌たっぷりで憎めない人柄が鮮やかににじみでる。江戸っ子との対比も鮮やかで、悪気のなさや異文化のズレをすくいとって笑いを誘います。それにしても寸志さんの落語は、『死神』の死神にしろ、『棒鱈』の薩摩の侍にしろ、登場人物の独特な語り方や郷土言葉にとても味があります。その味は、寸志さんが全登場人物を好いて大切にしているからこそ醸されるのだろうなと思います。

さてさて、勝倉さんは寸志さんの『棒鱈』をどのような絵にしあげるのか?! 気になる言葉や登場人物がたくさん出てくる『棒鱈』なので、勝倉さんがどこにフォーカスをあててどの素材を描きこむのか楽しみです!
絵が完成したら、また落語会でお披露目しようと思います~。
その日をお楽しみに!!

最後は3人で記念撮影。
これからも落語とイラストレーションをつないでまいります!
また落語会でお会いしましょう。

落語会詳細

字遊落語会
開催日:2025年12月17日(水)
時間:18:30開場、19:00開演
会場:ブックカフェ ハレキタザワ(東京都足立区六月2-33-3)
※竹ノ塚駅東口から徒歩約12分
参加費:2500円+300円(フリードリンク!)
https://honyashan.com/welcome/jiyurakugokai/

『字遊落語絵図録』

立川寸志さんと勝倉大和さんが選んだ落語十席を、勝倉さんがイラストレーションにした「字遊落語絵図」シリーズ。本書には『字遊落語絵図』展で展示した「字遊落語絵図」全作品画像を落語の解説(日英)付で掲載。さらに勝倉大和さん、立川寸志さん、和氣正幸、本屋しゃんの書き下ろしミニコラムも。

■目次■
字遊 ごあいさつ
文七元結
時そば
紙入れ
三方一両損
一眼国
くしゃみ講釈
品川心中
井戸の茶碗
猫の金魚
死神
寿限無
字遊コラム① 立川寸志
字遊コラム② 和氣正幸
字遊コラム③ 本屋しゃん
勝倉大和個展 展示風景

■仕様■
ソフトカバー/A5 50頁/カラー/日英 Japanese English

https://honyashan.thebase.in/items/127513633

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