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\人が集まる場所っていいなあ。あったかいなあ。−麻生知子『こたつ』(福音館書店)/

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こたつ。
最後に入ったのはいつだろう。
ん〜〜〜、全く思い出せない。

小さい頃、新潟の西蒲原郡というところに住んでいた。
そこにはこたつがあった。
新潟らしい、静かにしんしんと降る雪を窓からぼーっと眺めながら、みんなでこたつでぬくぬくと団欒していたなあ。
こたつの中に、ぬいぐるみをどれだけ詰め込めるかという謎の遊びもしていたなあ。ついでに、こたつの部屋の床一面に絵本を並べて、絵本のお家! とか言って遊んでいたなあ。

その後、新潟市内に引っ越した。西蒲原郡と比べると雪は降らず「街」だった。
引越し先にはこたつはなかった。カエルの卵を素手でわし摑んだり、蛍を捕まえて蚊帳に放したり、壊れかけのブロック塀の上を歩いてみたり、近所の駄菓子屋さん(ハビロさんって呼んでた。それがお店の名前なのか店主の名字なのかよくわかってなかった)で、妖怪けむりを楽しんだり……そんな経験は過去のものとなったわ。こたつだって、いつしか、わたしの記憶からは薄らぎ、こたつはダメ人間になってしまうとかいう会話に便乗するようになっていった。

今年の年末年始は帰省できなかった。仕方がない。
東京でのお正月は、例によって本屋さんをぶらぶらする。
いや、お正月じゃなくても、常に本屋さんをぶらぶらしてるんだけどね。


麻生知子『こたつ』(福音館書店、2020)

わたしの目に飛び込んできたのは、新鮮すぎる構図の「こたつ」だった。
こたつを囲む、とある家族の大晦日からお正月にかけての様子を、真上から俯瞰して定点観測している絵本。



こたつにぬいぐるみをいっぱい詰めるという謎な遊びをしていたわたしでも、この視点でこたつを見たことはないっ!!!

新鮮すぎる、真上からの視線。
こたつを取り囲んでいる家族でも見ることができない光景。
神様になったような、不思議な気持ちになる。


ふと、ある作品と体験を思い出した。
2012年に新潟市で開催された「水と土の芸術祭」での、アーティスト・西野達さんのプロジェクト「知らないのはお前だけ」。西野さんといえば、「マーライオンホテル」をはじめ、有名な造形物、街灯とか、銅像とかをね、建物の内側に取り込んで、内と外が溶け合った新しい空間を作り上げるの。実際にその空間に滞在したり、宿泊できたり、鑑賞者が体験者として作品を楽しめるの。そりゃあまあ、強烈で。そんな西野さんが新潟で使われなくなった教員住宅の屋根をパカっと外してしまいまして、滞在している人たちの様子を上からの覗き見ることができちゃうようにしたのがプロジェクト「知らないのはお前だけ」です。滞在者を募集していたので、わたしもいざ、滞在してみることに。


まさに、この「こたつ」の家族のように、上からいろんな人に見下ろされていたのです。「知らないのはお前だけ」状態。上を向けば、どんな人にどんな感じで見られているかわかるものの、緊張して見あげることができず(笑)

「知らないのはお前だけ」に滞在中のわたし。

後にも先にもこんな経験ははじめてだった。
自分は、なんでもない日常を過ごしているんだけど、俯瞰してみると異様な光景で、非日常だ。見る/見られるの立場が違うだけで、見える世界がガラリと変わるんだなあ。


『こたつ』を読み進める。
俯瞰視点が斬新でおもしろいことに加え、細部まで描きこまれた日常たちが、わかるーーー! と思わず共感するものばかり。

新聞の上のメガネ

みかんの皮

お母さんは料理の支度、その隣で子どもは宿題

飲みかけのワイン、食べかけのおつまみ、食べ散らかったお菓子の袋

こんなちょっとした光景が愛おしくなってくる。
こたつの上って、いろんな人の癖が現れるね。楽しい楽しい。

もうひとつおもしろい点がある。
一度も、人々の顔が見えないの。
最初から最後まで、つむじを眺めるのみ。
それも相まってでしょうか、自分自身が小さい頃の家族団欒、「今日は遅くまで起きてるんだ!」と背伸びしたがった大晦日の夜が重ねあわさって、懐かしさとともに、家族が恋しくなってきちゃう。

見たことがない視点なのに。
新しさを感じる視点なのに。
とっても懐かしくて、愛おしい絵本。

それにしても、いいな。
こたつ。
こたつみたいに、あったかくて、自然と人が集まる場所っていいなあ。
みんなで集まりたいな。






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