あれ?
ここって、きたことあるっけ。
はじめて訪れたところのはずなのに、なんだか見覚えがある景色。
夢で見たのかな、そんな気もする。
だとすると、ここは夢の中?
いや、正夢というやつ、か。
そんな不思議な体験をたまにすることがある。
朝、目が覚めて、今までの出来事が夢だったことを安堵したり、もう少しその世界に浸っていたかったと思うときもある。時には、朝がきたことにうまく馴染めないくらい、夢の中を生きているときもある。ここはどこ?さっきまでいた場所はどこへ? 嗚呼、だけど、もう、うまく思い出せない。曇りガラスの向こう側に行ってしまったわ。
散歩してたら、猫柳の蕾が膨らんでいることに気づく。
春の気配を感じながら、母のお腹に弟が宿ったとき、もう直ぐで生まれるよという時に、小箱に猫柳をいっぱいに詰めて母にプレゼントをしたことを思い出した。春の光のベールの先に、そんな思い出がぼんやり浮かびあがる。
こんなふわっとした気持ちを思い起こさせてくれたのは、現在、清澄白河のondoで開催中の、イラストレーター大津萌乃さんの個展「靄の町 -もやのまち- 」です。
靄の町はどこにあるんだろう。
そう、わたしの中にもありました。
夢か現か、その真ん中、そんな世界がきっとあるのです。
こっち側とあっち側。
裏と表。
右と左。
あなたとわたし。
2つにはスパって切ることができない世界があるのよ。
誰の中にも。
YESかNOかで答えを出さなくちゃいけない日々。
靄の町を歩いてみるのはとても大切な時間だと思うんだ。
相変わらず、大津さんの線は滑らかで美しかった。
どこの国の人かしらと思わせる人々は、まさに靄の町の住民のようで、どこかで会ったことがあるような、さっきそこですれ違ったような、不思議な気持ちになった。
額装も、光を柔らかく通し、良い方法だなあって頷いた。
ondoさんのギャラリースペースは、太陽がいっぱいでとても好き、
靄の町にちょっと迷い込みたい方は、ぜひ、ondoさんへ。
展覧会情報
大津萌乃 個展「靄の町 -もやのまち- 」
会期:3.12 (金) − 3.22(月) 12:00–19:00 ※最終日17:00まで
会場:ondo STAY&EXHIBITION(〒135-0024 東京都江東区清澄2-6-12)
※詳細はギャラリーWEBサイトをご覧ください
https://ondo-info.net/gallery_tokyo/ondo/exhibition/?id=20299